ユアサ商事株式会社は、日本国内の上場企業商社の中では最古の歴史を有する産業機械などをコア事業とした大手専門商社です。
1666年に、木炭商の初代湯淺庄九郎が京都で創業したのがユアサ商事の歴史の始まりです。
2016年に創業350年を迎えた老舗中の老舗企業です。
後述するとおり、「住設・建材・空調部門」事業と「工業機械部門」事業に強みがある工業と建設の複合型専門商社として、独自性を有しております。
今日はそのユアサ商事の株価分析と今後の見通しについて分析していきます。
バランスの取れた収益ポートフォリオ
2019年3期のユアサ商事の売上高セグメント構成比を以下に示しました。
半分以上を特定のセグメントが稼ぎ出すという形ではなく、どのセグメントもバランスよく売り上げを上げており、非常にバランスの良い収益ポートフォリオ構造となっております。
「住設・建材・空調部門」事業と「工業機械部門」事業の割合が高いものの、「産業機器部門」事業、「建築・エクステリア部門」事業、「建設機械部門」事業など他の収益基盤もあります。
ユアサ商事は、複数の収益基盤を有しておりますので、一つの事業セグメントの収益が減益となってもリスクヘッジできる事業構造の厚さを誇っております。
19年3期の経営成績は前年比10%増の大躍進
次は、2019年3期のユアサ商事の2019年3月期の経営成績について考察していきましょう。
下期以降、米中貿易摩擦の影響を受けて海外事業では一部減速感が出ましたが、国内の設備投資需要は堅調に伸びました。
そして、リフォーム、インフラ関連、災害復興需要などの背景もあり、経営成績は以下の通りの増収増益となりました。
営業利益は前期比9.8%増の125億17百万円、経常利益は前期比10.6%増の134億37百万円となりました。
最終的な利益を示す親会社株主に帰属する当期純利益は前期比9.4%増の90億38百万円となりました。
続いて、ユアサ商事の過去4年間の経営成績についてです。
2019年3月期の経営成績が抜群なのは前述した通りなのですが、過去4年間に渡って堅調な経営成績であることが分かります。
4年間連続で、営業利益と経常利益はともに増収増益となっております。
創業360年目を迎える2026年目標経常利益は200億円
続いて、ユアサ商事の中長期な経営ビジョンについてみていきましょう。
下図の通り、今後も順調に利益を積み上げていき、創業360周年となる2026年には売上高6,000億円、経常利益200億円の目標を設定しております。
これまでの業績も絶好調なユアサ商事ですので、中長期的にもユアサ商事の成長が楽しみです。
自己資本比率30% さらなる財務基盤強化を要請
さて、続いてはユアサ商事の財政状態を見てみましょう。
過去4年間で、自己資本比率は年々増加しており、直近2年間で30%を超えました。
今後は自己資本比率40%を達成することを期待したいです。
ユアサ商事は2026年に経常利益200億円を達成する力強い経営計画を打ち出しておりますが、この実現の基盤となるのがこの財政基盤です。
しっかりと今後も財政基盤を強化するように要請したいところです。
過去4年間のROEは全て10%超 経営効率の高い経営が光る
続いては、ユアサ商事の自己資本当期純利益率(ROE)について分析していきましょう。
過去4年間で微減となっておりますが、それでも自己資本当期純利益率(ROE)は10%を維持しておりますので立派です。
競合他社に比べても、非常に経営効率性の高いビジネスを行っていることが分かります。
2020年3月期には、自己資本当期純利益率(ROE)は13%台へ回復してほしいと思います。
親会社株主に帰属する当期純利益も順風満帆
次に、ユアサ商事の親会社株主に帰属する当期純利益について考察していきましょう。
こちらも今まで申し上げてきました、経営成績と自己資本当期純利益率(ROE)と同様の結果を示しております。
ユアサ商事の親会社株主に帰属する当期純利益は御覧の通り、右肩上がりで推移しており、堅調な伸びが確認されます。
素晴らしいです。
年々増加する配当金 2020年3月期は前年+10円の150円の配当を計画
それでは、今までのユアサ商事の配当金の推移について振り返ってみましょう。
2017年に減配があったものの、それ以降は増配を続け、2020年3月期には前年と比べて10円増額した150円の配当金の支払いを計画しております。
(2017年3月期も、営業利益と経常利益は両方とも前年を超えていたので経営成績としては全く問題ないです)
株主還元率も約30%を推移しており、稼いだ利益をきちんと株主に還元する姿勢を垣間見ることができます。
ユアサ商事の株を持っていて損することはあまりないでしょうし、現状で懸念事項もございません。
株価は必ずしも割高とは言い切れない 資産株としておすすめ
ユアサ商事の株価は2019年11月8日時点で3,555円となっています。
過去1年間は横ばいに推移しておりますが、直近は株価の上昇が著しいです。
ですが、この好業績を考慮したら当然のことですね。
しかし、ファンダメンタル指数を分析してみた結果、PERは現在8.80倍程度、PBRは1.07倍程度となっており必ずしも割高とは言い切れないことが分かります。
2020年3月期も増配を計画しておりますし、個人的には、ユアサ商事の株主になっておいて損は無いと思います。
配当利回りも3.94%と高い値となっておりますので、資産株としてもかなり魅力的です。

まとめ
ユアサ商事は、経営成績も良好で、株主還元にも積極的な非常に魅力的な資産株であることを本稿において報告させていただきました。
来年はさらなる増配が計画されておりますし、配当利回りも約4%となっており、ユアサ商事の株を持っておいてマイナスになることは無いと思います。
ご自身の資産形成の強い味方になってくれると思いますので、強くお勧めしたいです!
以上、ユアサ商事の株価分析と今後の見通しについての分析でした!
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