こんにちは!ネオコンです。
本日はコロナからのダメージが最も少なかった、豊田通商についてみていきましょう!
豊田通商といえば、トヨタ自動車の決算が良ければ、その商社部門のような位置付けである豊田通商の業績も良いというのが今まで豊田通商の決算書を読み解いた中でも私の感覚です。
そして、メーカーと近い存在であることから総合商社唯一、決算IR資料中のPLで営業利益の項目があるのも、豊田通商のユニークな特徴です。
あとは、アフリカ本部という、地域自体が事業セグメントになっているのも特徴ですね。
前置きはこの辺にして、残念ながら2020年にバフェット氏からは出資してもらえませんでしたが、実力者豊田通商の2021年3月期の決算についてみていきましょう!
豊田通商 2021年3月期 連結決算概要
損益
まずは豊田通商の2021年3月期の連結決算概要を見ていきましょう。
2021年3月期は新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う世界経済の減速や市況下落の影響を受けて、 当期利益ベースで1,346億円と前期比わずか1%の減益となりました。
他の総合商社が新型コロナウイルスの影響で大苦戦する中、豊田通商はわずか1%の減益で2021年3月期を仕上げたと考えると相当素晴らしい実績だと思います。
総合商社では住友商事が赤字転落し、前年王者の三菱商事が前期赤字転落していた丸紅に抜かれるなど、上位総合商社が大苦戦しました。
そのような中で豊田通商の外部環境に左右されずに利益を積み上げる筋肉質な経営体質を構築できたと言えるでしょう。
次に、この前年比わずか▲1%減で仕上がった当期利益1.346億円の内訳を見てみましょう。
前年最も大きな利益を稼いだ機械・エネルギー・プラントプロジェクト本部が、前年差▲121億円と沈みました。
しかし、これは、前期カナダ電力事業売却反動、アジア建機事業売却損で▲138億円の差が出ているもので一過性の影響と言えるでしょう。
豊田通商の強みとは、それ以外の事業セグメントで前年を上回る強固な収益基盤です。
中国以外の自動車の生産台数が下降するも、海外食料事業堅調やレアアース市況の上昇などを追い風にきちんと利益を積み上げました。
財政状態
続きまして、財政状態についてみていきたいと思います。
ネット有利子負債とネットDERが減少し、非常に良い財政状態を構築しつつあると言えます。
新型コロナウイルスの影響で、借り入れを行い、負債額が上昇した企業が2021年3月期には多かった中、豊田通商は、環境に左右されずに財政状態の向上を実現しており、高く評価できると思います。
キャッシュ・フロー
次に、キャッシュ・フローです。
営業キャッシュ・フローがプラス、投資キャッシュ・フローがマイナスなので、フロー・キャッシュ・フローはプラスです。
財務キャッシュフローもマイナスなので、非常に綺麗な形をしております。
新型コロナウイルスの影響を受けながら、平常時と変わらぬキャッシュ・パッフォーマンスを遂げて非常に素晴らしいです。
配当金支払い後のフロー・キャッシュ・フローも前年と比べて2倍以上積み上げていて、将来への投資や有事の際の備えなどの準備ができております。
投資実績
一応、2021年3月期に実行した投資案件についても軽く触れておきましょう。
前年のネット投資キャッシュ・フローが▲1,739億円で、今年が▲1,021億円となっておりますが、実態ベースだと、昨年が▲1,815億円で、今年が▲1,578億円とあまり大差ないことがわかります。
また、投資案件の内容を見てみると、風力発電に半分の投資キャッシュ・フローを投じており、脱炭素など将来のビジネス情勢を鑑みた期待できる投資を実行したことがわかります。
以上より、豊田通商としては、非常に堅実な形で2021年3月期を終えたことがわかりましたので、来期はどのような飛躍を遂げるのか、見ていきましょう。
豊田通商 2022年3月期 業績予想
2022年3月期 業績予想
さて、2022年3月期の豊田通商の業績予想に参りましょう。
2022年3月期は、新型コロナウイルスの影響も徐々に収束していくという前提のもと、前年比+11%の過去最高益1,500億円に挑戦します!!
当期利益1,500億円(前年差+154億円、前年比+11%)
ここ4年間当期利益はずっと1,300億円台でしたが、ついにここから大台の1,500億円を目指すという力強いメッセージが発せられております!
これらを事業セグメント別に落とし込んで見ると、2021年3月期で利益を牽引した化学品・エレクトロニクス本部、食料・生活産業本部で減益が見受けられるものの、
それ以外の事業セグメントでは概ね当期利益ベースで前年比増となっております。
そして、売上総利益ベースだと全セグメントで増益予想となっております。
2022年3月期 株主還元/ROE実績
さて、それでは過去最高益である2022年3月期当期利益1,500億円に挑戦する豊田通商の株主還元について触れておきましょう。
若干減益となった2021年3月期ですら+2円の増配を実行しているのに、2022年3月期はなんと+8円の120円の配当金を想定しております。
豊田通商の株主還元方針では、連結配当性向25%以上としながらも、3年連続で約28%の連結配当性向と、稼いだ利益を株主に還元している姿勢が垣間見れます。
ROEにつきましても、他の総合商社が10%の大台に届かない中、豊田通商は6年連続でROE10%台を達成する見込みとなっております。
株主資本をきちんと純利益に結びつけて、稼いだキャッシュを配当として株主還元するという、資本主義の原則に基づいた美しい企業姿勢が見て取れます。
過去10年間の財務サマリー
次に、過去10年間にわたる豊田通商の財務サマリーを見ておきましょう。
当期利益、営業キャッシュ・フロー、ROEは右肩上がりで推移し、ネット有利子負債、ネットDERは下降の一途をたどっており、企業成長の軌跡が垣間見れます。
6,7年前までネットDERは1.0倍を超えていたようですがが、2021年3月末で0.68倍と健全な値になっておりますので、豊田通商の企業価値がここ5年間でかなり向上したことがわかります。
まとめ
最後に豊田通商の最新株価を確認してまとめとさせていただきます。
ここ1年間でなんと+88%も上昇しており、株価がほぼ2倍になっております!!

もちろん、2020年上半期は新型コロナウイルスの影響で、他業種、総合商社業界軒並み2021年3月期の業績を心配する声もあって軒並み企業の株価は下落の一途を辿りました。
しかし、2021年3月期にほぼ新型コロナウイルスの影響を感じさせずに利益を積み上げていった豊田通商の市場からの期待は非常に高いものと言えます。
今回で2021年3月期の総合商社全ての決算分析を終えることとなりますが、正直、住友商事よりかは実感で豊田通商の方が上であるような気がします。
個人的に住友商事には投資しておりますので、株主として頑張って欲しい気持ちは山々ですが、住友商事は結果を出せなければ、バフェット氏からの投資も引き上げられ、代わりに豊田通商へ取って代わられることも考えられなくもありません。
今回分析して改めて豊田通商の企業ポテンシャルの高さを定量的に理解し、実感することができました。
それではまたお会いしましょう!
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