こんにちは〜!ネオコンです😊
あと30分後に双日の2021年度1Q決算なのですが、その直前となり大変恐縮ですが、復習用にご報告したくリリースさせて頂きます!
今回は総合商社シリーズです。すでに三菱商事、三井物産、伊藤忠商事、住友商事、丸紅、豊田通商については分析しておりましたが、双日のみまだでしたので双日についての分析報告をさせていただきます!
下記の通り、2020年度の総合商社の勢力図は新型コロナウイルスの影響を受けながらも、各社ともその中で真の稼ぐ力が試される年であり、大きな変化がありました。
伊藤忠商事が首位に返り咲き、三井物産が躍進。三菱商事は丸紅に敗れ、住友商事は双日、豊田通商を含めた7大商社の中で唯一の赤字転落。
首位の伊藤忠商事と赤字転落の住友商事の記事はこちら。
新型コロナウイルスが収束した後は、ESG投資、脱炭素の潮流などより一層総合商社を取り巻く環境は激変していき、その中でも稼ぐ力をいかに発揮していくか、各社とも収益資産ポートフォリオの組み替えが求められていくでしょう。
前置きが長くなりましたが、早速、双日の2021年3月期、および2022年3月期の通期見通しについて一緒に見てまいりましょう!
双日 2021年3月期実績及び2022年3月期通期見通し
まずはざっくりと2021年3月期と来期2022年3月期の見通しについてです。
2021年3月期は新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う世界経済の減速や市況下落の影響を受けて、 21/3期実績は270億円と前期比減益となりました。
しかし、2022年3月期は金属・資源・リサイクル事業の黒字化からの大復活もあり、純利益ベースで1.5倍の530億円を見込んでおります。
双日 2021年3月期実績
損益計算書 資産入替
さて、2021年3月期にフォーカスしておきましょう。
2021年3月期は新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う世界経済の減速や市況下落の影響を受けて、減益となりました。
当期利益270億円(前年差▲338億円)
特に、2020年3月期の純利益の1/3を稼いでいた金属・資源事業が赤字化し、収益を大きく圧迫しました。
しかし、この金属・資源事業の赤字は、前期の一般炭権益売却の反動に加え、構造改革に伴う一般炭権益の減損計上などが含まれており、脱炭素における石炭事業の整理の構造改革費用を含んでおります。
ですので、全てがマイナスというわけではなく次世代のビジネスのための準備費用も計上したと捉えることができます。
下記の一過性損失でも石炭や石油など構造改革関連での損失が計上されていることが確認できます。
また、純利益をセグメントベースで見てみても、全事業セグメントでの減益が見受けられます。
全事業で減益、しかし、構造改革費用を含むというのが双日の2021年3月期のPLでした。
収穫としては、先述した通り、脱炭素・ESG投資関連で今後阻害要因となる一般炭事業を売却してクリーンエネルギーへの資産入れ替えが実行されたことがわかります。
私としては、双日にとっての2021年3月期とはビジネスベースでは大きく損益が沈んだ年であったが、未来への事業整理をできたのにも関わらず住友商事と違って赤字にならなかったので、減配はいただけないがまずまずの成果を残した1年であったと思います。
貸借対照表
さて、次に双日の2021年3月期の財政状態を見ていきましょう。
双日は上位総合商社と比べてDEレシオが1倍を上回っており財政状態に若干の不安があったのですが、今回なんとか1倍を下回ったみたいです。
新型コロナウイルス感染が長期化することでいかに企業体力を維持しておくかは大事ですので、今の時点で財政状態が一応そこまでの不安でないことが確認できたのは良かったです。
キャッシュフロー・マネジメント
さて、次に双日の2021年3月期のフリーキャッシュ・マネジメントを見ていきましょう。
損益的には先述した通り、厳しい状況となりましたが、現在の中期経営計画2020で計画している3ヶ年累計のフロー・キャッシュ・フロー、基礎的CF(株主還元後)は黒字を達成できました。
では、次に双日の来期2022年3月期についてみて行きましょう。
双日 2022年3月期 業績予想
さて、それでは双日の2022年3月期の通期業績見通しを見ていきたいと思います!
双日の2022年3月期の業績予想は、
当期純利益530円(前年差+260億円)
ROA1.2%(前年差+1.0%)
ROE8.4%(前年差+3.9%)
配当14円(前年差+4円)
新型コロナウイルス感染のワクチン接種の普及による経済活動回復を前提としており、自動車、化学、鉄鋼で回復が見られるとしております。
当期純利益想定530億円を事業セグメントベースで落とし込むと、大半のセグメントが増益となり、全体の利益を押し上げていることがわかります。
2021年3月期に赤字転落した金属・資源・リサイクル事業が再び最大の収益の柱として返り咲く模様です。
2022年3月期 配当政策
続いて、双日の株主還元政策について見てきましょう。
2022年3月期の双日の配当は下記の通りです。
配当14円(前年差+4円)
2022年3月期から新規の中期経営計画2023に入りますが、そこでは株価、PBRを意識した非常にユニークな配当政策を発表しました。
2024年3月期までの新中計で、重要業績評価指標(KPI)にPBR1倍超を目指す方針を盛り込んだのです。
ここでは下記の通り、PBR1倍に到達する前の後とで、時価と簿価に応じて下限配当が定められるというユニークな配当政策を取るとしております。
総合商社は稼いだキャッシュの投資に回し続けていることが市場から指摘され、現在伊藤忠商事以外のPBRは解散価値を下回る1倍以下とその株価の上昇が見受けれない点が長年問題視されてきました。
今回の双日のユニークなPBRに着目した政策は時代の先端を行く株主価値をよく理解した良政策であるとの見方がマーケットではなされております。
2021年3月期は3年ぶりに2018年3月期の11円を下回る10円配当という結果に終わってしまいましたが、今後はまずは直近の17円を突破して持続的な配当政策を継続してほしいと思います。
まとめ
最後に双日の最新株価を確認してまとめとさせていただきます。
ここ1年間を見て見ても、2021年3月期の前半は新型コロナウイルス感染拡大で業績の悪化を発表したことが市場から敬遠され、長らく株価は250円以下をたどっておりました。
しかし、今回の決算の内容と、先ほど申し上げました株主価値に基づいた株主還元策が評価されて過去1年間で4割近くも上昇していることがわかります。

双日は総合商社の中でも最も株価が低くて最も購入しやすい銘柄として有名です。
250円の時に買っておけばな〜という投資家の方は私含めて多いことでしょう。
少なくとも今の時点では、株主還元にも力を入れるだけのキャパシティはあるように見受けられますし、脱炭素、ESG投資の準備も着々と進めており、双日が新規の中期経営計画を計画通り実現できるか期待しております。
早く、バフェット氏からも投資してもらえるような日が来ることを願っています!
それではまたお会いしましょう!
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