こんにちは!ネオコンです!
「ソフトバンクグループが12日発表した2021年3月期の連結決算(国際会計基準)は、純利益が4兆9879億円に達した。」
日本企業の純利益として過去最高を叩き出したこのニュースは大きな話題となり、株式市場に明るくない人にとっても、とりあえず凄いんだ〜という印象を与えた注目の決算でした。
ソフトバンクGの2021年3月期の連結決算は、売上高5,628,167百万円に対し、税引前利益5,670,456百万円と、税引前利益が売上高を超えるという決算書の常識を覆した歴史的決算と言えるでしょう。
未実現評価益で日本企業最高益を叩き出し、グーグルの親会社である米国アルファベットをも純利益で上回った今回の決算。
今回はこの決算解説で、ソフトバンクGの強さの秘密に迫り、この仕組みを紐解きつつ、ソフトバンクG株への投資価値についても意見申し上げます。
それでは、さっそく見ていきましょう!
ソフトバンクG 2021年3月期決算
純利益4.9兆円、既存の会計学の常識は通用しない
ソフトバンクグループの2021年3月期決算は、
売上高5,628,167百万円
税引前利益5,670,456百万円
親会社の所有者に帰属する当期利益(純利益)4,987,962百万円
です。
下記をご覧になってわかる通り、
売上高が税引前利益を超えるという、売上以下の損益計算書項目でプラスがあって、最終的に税引前利益が大きくなるという事態が生じました。
このことから、ソフトバンクグループは完全なる投資会社であり、本業というものは存在しない。
本業は投資であり、今年の損益計算書からそのことをソフトバンクグループ自体も高々と宣言しております。
実際に2020年4月1日から、本業の儲けを示す「営業利益」の表示をやめ、連結業績における投資の効果を明示する「投資損益」を示すこととしています。
そして、連結経営成績の概況でも先ほど申し上げました「投資損益」が、7.5兆円と売上高5.62兆円を大きく上回っていることがわかります。
これが主要因となり、前述した税引前利益が5.67兆円となり、税引前利益が売上高を上回るという事態が生じてしまったのです。
まずは、ソフトバンクグループは本決算を通じて、損益計算書の表示ルールも変更したことから完全なる投資会社という見方ができるでしょう。
ソフトバンクグループの決算書を読み解く上で、この会社は投資会社であるということをまずは念頭に入れていただければと思います。
それでは、この投資損益7.5兆円を計上できたことが、冒頭で申し上げました純利益4.9兆円に繋がってくるのですが、どのような投資案件で成功があったのかを次に見ていきたいと思います。
「金の卵の製造業」戦略の奏功、含み益の爆上がりが主要因
「AI革命」を掲げる孫正義会長兼社長が出資した新興企業に投資し、彼らの上場や企業価値上昇によってその評価益によって利益を得るのがソフトバンクグループの利益手法です。
そして、出資先新興企業が上場を果たしたり、株価の上昇をして、出資者であるソフトバンクグループに利益をもたらした時、その企業群のことを「金の卵」と呼びます。
孫正義会長兼社長は、ソフトバンクグループはただの投資会社ではなく、この「金の卵」企業を世にたくさん生み出す、「金の卵」の製造業と謳っています。
今回、この投資が世界的な株高の影響がありつつも、奏功したことが国内企業最高益4.9兆円を実現した主要因であることは間違いありません。
「金の卵」の製造業とはいえ、投資会社ソフトバンクグループが最も大切にする経営指標が、こちらのNAVです。
NAV(Net Asset Value: 時価純資産) NAV = 保有株式 – 純負債
この指標が昨年と比べて、4.4兆円増したこと
そして、NAVの最大の割合を誇るAlibabaの成功はもとより、ソフトバンクビジョンファンド1と2の躍進が大きく貢献したことがわかります。
そして、ソフトバンクビジョンファンド1と2だけでは物足りず、さらなる未来のユニコーンを発掘すべく、ラテンアメリカ・ファンドの含み益も大きく貢献したことがわかります。
含み益は+1,559億円となりました。
以上のように、ソフトバンクビジョンファンド1と2、さらにはラテンアメリカ・ファンドで224社に出資しております。
未来のユニコーンが上場されるたびに、その株価が上昇→NAVの上昇および、株の評価益でソフトバンクグループの投資損益が爆増し、最終的な純利益を増やしていくというビジネスモデルを今後もサイクルで繰り返していく形となります。
では、そのようなユニコーンを発掘、企業価値上昇、ソフトバンクグループの利益に結びつけるビジネスモデルを有するソフトバンクグループの今後の株価見通しはどうなるのか、見ていきましょう!
ソフトバンクGの株価見通しおよび株式銘柄価値
決算発表後株価は厳しい審判、弱点はキャッシュにあり
日本中が盛り上がった決算説明会の翌日13日のソフトバンクグループ株は売りが先行し、前日比▲7.77%下落で取引を終えました。
国内企業史上最高益を計上したのになぜ!?

一つの理由として、追加の自社株買いの発表がなかったことが挙げられます。
さらなる追加枠での自社株買いを実行することで、ソフトバンクG株式価値の上昇と同時に課題の自己資本比率健全化のため、キャッシュに自信がある点を見せて欲しかったのですが、それが直接明言されなかったのは残念に思います。
今後の課題はキャッシュ
では、ソフトバンクグループ株式の投資価値について論じたいと思います。
結論から申し上げますと、キャッシュに裏付けられるビジネスが確立し、そのような体質に転換した時、株価という面でのソフトバンクグループ株式価値は爆上がりすると信じております。
脆弱なキャッシュ面
以下の連結キャッシュフロー計算書をご覧下さい。
投資利益7.6兆円は当然キャッシュフロー計算書ではマイナスされます。
では、投資関連で得たキャッシュというのは、一時的な売却益を除いては何があるでしょうか?
利息および配当金の受取額です。
これが276億円です。
え!?
7.6兆円の含み益がありがなら、投資関連の獲得キャッシュはたったの1/286に過ぎない。
ここにソフトバンクGの課題があると思います。
確かに、これから大化けするユニコーンに出資して、上場し、株価が上がると、持分法適用保有額以上の株式を得ているソフトバンクグループはそれらを投資利益として計上できます。
しかし、それはあくまで含み益であり、未実現利益です。
自己株式取得や、配当を支払うための原資となるキャッシュを得るには、含み益ではなく、本業で稼ぐ、保有株式を売却する、出資先から配当を得るの3つの手法が考えられるのですが
⒈本業で稼ぐ→本業は投資
2.保有株式を売却する→一時的な所得
3.出資先から配当を得る→創業間もない会社は配当よりも事業投資の方が先決
という風に、ソフトバンクグループの企業形態および出資している出資先企業の体質上、投資でキャッシュが稼げないのが現状なのです。
そこを市場は懸念しており、課題としてあげているため、昨日の歴史的決算があっても翌日暴落する一因となっていると考えます。
海外のファンドはきちんとキャッシュを得るために、このような新興企業に出資するという形は取られておらず、ある程度オールドエコノミーの企業に出資する形となります。
もちろん、これはトレードオフで難しい問題です。
ソフトバンクは短期間にここまでの新興企業に投資して、結果を出している以上、出資の承認、意思決定スピードは他社を圧倒しており、それがあったからこそ金の卵を見つけて製造できたのだと思います。
ですから、金の卵企業は、上場して株価が上がって、ソフトバンクグループのNAVが上昇したからこそ金の卵ではない。
その金の卵が、配当金を出せるくらい成熟した時、初めて金の卵をなる
という未来への期待を込めて、ソフトバンクグループ株式への投資価値は評価されるべきだと思います。
日本企業で過去最高となる純利益を叩き出した伝説の企業グループこそが、今回解説申し上げましたソフトバンクグループです。
将来の出資先企業の成長に私財を託せるであれば、ソフトバンクグループ株式への投資は妙味ある選択肢の一つだと言えます。
今回の報告は以上となります!
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