ちゃお!ネオコンです!
本日は、コロナで大打撃を受けた代表的業界の一つである、東京ディズニーランド擁するオリエンタルランドの決算について解説させていただきます!
JR東海、JR東日本、JAL、ANAと名だたる企業が苦戦を強いられた2020年。
オリエンタルランドも緊急事態宣言下の外出自粛により休園を余儀なくされて、開園以来、最も厳しい1年となったと思います。
なんとなく、オリエンタルランドも大変だったんだなーというのはわかるのですが、一体どれだけのダメージがあったのかを決算分析を通じて定量的に解析していきたいと思います!
それでは、オリエンタルランドの2021年3月期および来期2022年3月期の経営見通しについて一緒に見ていきましょう!
オリエンタルランド 2021年3月期決算
過去5年間の推移
最初にざっくりと、昨今のオリエンタルランドの経営成績のイメージを掴んでいただくために、下記の過去5年間にわたるオリエンタルランドの売上高、営業利益、当期利益についてご覧ください。
売上、営業利益、当期純利益のすべてで相関関係が取れており、新型コロナウイルスの影響が出始めた2020年3月期の第4四半期を含む昨年の2020年3月期に減益となるも赤字ほどではありませんでした。
しかし、今年、売上があっても営業利益以下すべて赤字転落となってしまいました。
完全に「夢の国、崩壊」ですね。オリエンタルランドにとって、非常に厳しい1年でした。
損益計算書
次に、オリエンタルランドの経営成績について見てまいります。
オリエンタルランドの2021年3月期決算は、
営業利益▲459億円(前年差▲1,428億円)
経常利益▲492億円(前年差▲1,472億円)
当期利益▲541億円(前年差▲1,164億円)
と散々たる結果でした。
本業ですら▲459億円の赤字なのに、経常利益、純利益と下がっていく中でさらに損失が膨らんで、最終利益が▲541億円で着地したという形になります。
当然、営業外損失、特別損失があるのですがこれは後述させていただくとして、当期の営業実績を前年比較で細かく見ていきましょう。
売上高、入園者数が大幅に減少となったものの、収穫としては、ゲスト一人当たり売上高が17.5%も上がったことです。
チケット価格改定による値上げや新規エリア関連商品の増加など客単価の上昇が一つ、この大変な環境下で得られた貴重な収穫です。
ただ、当然のことながら赤字を補填できるまでの材料ではないです。
そして、ここで先ほど当然発生したはずである営業外損失、特別損失について申し上げます。
下記は特別損失を上期と下期で分けたものですが、上期の方が特別損失は大きく、下期はほとんど特別損失は出さずに営業費用の減少などで粘りましたが、通期で▲185億円の特別損失が計上され、経常利益からさらに利益を押し下げることになりました。
年間を通じて、緊急事態宣言に伴う外出自粛例が出されるたびに発生する臨時休園が増えるたびに特別損失が生じて、オリエンタルランドの経営成績に大打撃を与える結果となりました。
それでは、大赤字で終わった今期ですが、オリエンタルランドの財政状態にどのような傷を残したのか、つぎに財政状態を見ていきましょう。
財政状態
下記は下記期末のオリエンタルランドの有利子負債残高の推移です。
ご覧の通り、2013年度からだいたい1,000億円以下で推移してきた有利子負債が、今期末に2倍の2,000億円に迫る勢いで増加したことがわかります。
D/Eレシオでこの点深掘りしてみましょう。
1倍以下が普通とされるD/Eレシオですが、オリエンタルランドは2013年から0.1倍を軸に推移させてきました。
しかし、今年これが0.3倍にまで跳ね上がっています。
D/Eレシオが0.3倍であれば、JALやANAと比べたら全然軽症なのですが、0.1倍という超安定経営をしてきたオリエンタルランドに与える心理的ショックは計り知れません。
コロナによる営業不振が残した爪痕は大きいですね。
キャッシュ・フロー
さて、概ね理解できるのですが、今期のキャッシュ・フローについてです。
本業で赤字となったオリエンタルランドが今年は営業キャッシュ・フローでキャッシュを獲得することが難しくて、下記の通り、営業キャッシュ・フローはマイナスに転落しております。
そして、本業でキャッシュが稼げない以上、いかにキャッシュアウトを抑えていくのかというのが経営課題となってきますので、下記の通り、キャッシュアウトを抑制する政策がなされました。
執行役員の報酬の減額、社員のボーナスの削減、諸経費の見直しといったできるところでの削減が実行されました。
痛みの伴う削減策です。オリエンタルランドの厳しい台所事情が垣間見えます。
つぎに、この大赤字だった2020年度を踏まえて、従来想定していた中期経営計画上の2020年度との比較検討がされているので見てみましょう。
2020年度中期経営計画振り返り
中期経営計画で思い描いていた2020年度と実績との比較が下記です。
2019年度までは経営は計画通り順調でした。
しかし、2020年度からは新型コロナウイルスの感染拡大を受けて形勢逆転、大赤字に転じて、まさに想定外の一年であったと記されております。
2019年度までは、営業活動で稼いだキャッシュを事業投資に充ててさらなる成長を求めてキャッシュがいい感じで回っていたのに、今では営業活動でキャッシュが稼げないので、いかにキャッシュの流出を防ぐかという守りの経営にシフトしたと明記されております。
オリエンタルランド 2022年3月期見通し
経営見通し
2022年3月期のオリエンタルランドの経営見通しは、下記の通り、現時点での業績予想の策定が困難であるため未定としております。
また、配当金についても未定としております。
配当金は我々、投資家にとって非常に大切な観点ですので、前期も含めてみておきましょう。
前期の2021年3月期は、その前の44円から大幅減配となって26円となっておりましたが、来期2022年3月期の配当金は業績見通しも立っていないため、未定となっております。
最後に
最後にオリエンタルランドの現在の株価を見ておきましょう。
意外にも、過去20年間で今のオリエンタルランドの株価は最高値のゾーンに位置しております。
特に、2020年末には史上最高値を記録しており、オリエンタルランドの株価と業績とには相関関係が見られないようにみて取れます。
やはり、根強いディズニーファンの力というものでしょうか。
財務諸表に表現されないオリエンタルランドのブランド価値の高さには脱帽です。

コロナ期間中の今ですら上昇している株価ですから、コロナウイルス収束後に、入園者数が通常通りになった時には、2021年3月期内に、ゲスト一人あたりの売上高もあげて収益性を改善していることから、V時回復が狙えると私は考えます。
ミッキーとミニーが再び笑顔になれるよう、1日でも早く新型コロナウイルスが収束してオリエンタルランドの経営が好転するよう祈っております。
今後も当ブログでは四半期決算ごとにオリエンタルランドは重要チェック銘柄としてwatchしていく所存ですので、引き続き決算分析、報告をさせていただきます。
頑張れオリエンタルランド!復活するんだ!夢の国!
みんなディズニーファンは待っている!!
ありがとうございました!
今回の報告は以上です。
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