こんにちは!ネオコンです!
本日は経営学でも習った「選択と集中」を見事実行し、経営事業ポートフォリオの組み換えが成功しそうな優良企業である「オリンパス」の2021年3月期決算について見ていきたいと思います!
オリンパスといえば不振が連続していたデジタルカメラなどの映像事業を昨年日本産業パートナーズ(JIP、東京・千代田)に売却しました。
そして、2021年2月には国内従業員の約6%に当たる844人が早期退職制度の募集に応じたとされております。
この映像事業を売却して内視鏡事業を主力とするNo.1メドテック企業を目指すオリンパスの2021年3月期、および2022年3月期の通期見通しについて一緒に見てまいりましょう!
オリンパス 2021年3月期連結決算概況
損益計算書
オリンパスの2021年3月期決算ですが、新型コロナウイルスの影響で前年と比べて、売上高、営業利益、純利益でマイナスとなるものの、第4四半期の売上は、内視鏡・治療機器事業ともに2桁成長を実現し大幅な増収となり、良い形で2021年度3月期を仕上げることができました。
2021年2月時点で今期の配当を10円と発表しつつも、12円に増配している点で余裕が感じられます。
また、後述しますが、来期の2022年3月期も営業利益、当期利益共に過去最高を見通しており期待できますね!
それでは、2021年3月期の連結業績概況を見ていきましょう。
オリンパスの2021年3月度通期実績は、
営業利益820億円(前年差▲11%)
当期利益130億円(前年差▲387億円)
配当12円(前年差+2円)
と善戦していることがわかります。理由は、稼ぎ頭である、内視鏡事業と治療機器事業が第4四半期になって復活したのが大きいですね。
内視鏡事業:4Qに市場環境の回復を受け、北米・中国・日本市場において2桁成長を実現。「EVIS X1」及び十二指腸内視鏡、気管支内視鏡の売上が拡大した。
治療機器事業:4Qに市場環境の回復を受けて、全ての地域でプラス成長となり、特に前年同期に新型コロナウイルスの影響を受けた中国が好調に推移。呼吸器科処置具と泌尿器科製品が牽引。
何が凄いかって、冒頭申し上げました通り、オリンパスは映像事業売却に伴い、社外転進支援制度を使っておりその費用を2021年3月期に計上していながらその費用を吸収するだけの利益を稼いだところが見事です。
内視鏡事業:社外転進支援制度に伴う費用(約40億円)
治療機器事業:社外転進支援制度に伴う費用(約15億円)
2020年度は新型コロナウイルスで大半の企業が減益となりました。
オリンパスは、この環境下で、映像事業を売却してその後の処理費用等で利益を圧迫されることが予想された中、なんとか利益を出し切って、増配まで持っていくとは非常に健闘したと思います!
貸借対照表
次に、貸借対照表を見ておきましょう!
どの企業でもそうですが、新型コロナウイルスに対応した調達等により、現預金が+735億円ほど増加しています。
そして、映像事業を売却し、さらに医療ビジネスに集中すべくVeranMedicalTechnologies社等の買収を実施したことによるのれんと無形資産が増加していることがわかります。(今後減損がないことを祈ります。。)
以上、上記実行のため有利子負債を増加させたことにより、自己資本比率は前期末比で3.1ポイント減少し、33.4%となりました。
が、来期に営業利益、当期利益の過去最高を見越しているので、こちらは将来のビジネスのためリスクをとった買収だと考えられるので、多少の財政状態の悪化はリスクテイクと見ていいでしょう。
連結キャッシュフロー計算書
次に、連結キャッシュフロー計算書も軽く見ておきましょう!
BSと重複しますが、M&Aで費やした支出と、映像事業売却に伴う費用が発生したため投資キャッシュフローは前年の倍くらいになっておりますが、この一時的キャッシュアウトを除けば平常通りです。
そして、財務キャッシュフロー の増加も先述した通り、コロナ関連の調達により増加しております。
これから稼いで、債務を返済して自己資本比率を上げてより良い財政状態を目指していくのがオリンパスの今後目指していく財務マネジメントでしょう。
オリンパス 2022年3月期 通期業績見通し
さて、それではオリンパスの2022年3月期の通期業績見通しを見ていきたいと思います!オリンパスの2022年3月期の業績予想は、
営業利益1,260円(前年差+440億円)過去最高
当期利益890億円(前年と比べて約4倍)過去最高
配当14円(前年差+4円)
と大きく躍進するとの見通しです。
来期は市場環境の回復と新製品の成⻑等により、全事業で増収し、10%の成⻑となる見通しになると心強い発表がありました。
今まで、万年赤字で会社のお荷物となっていた赤字事業の映像事業を売却しただけでここまで黒字化して大きく躍進できるものなんだと正直感心しました。
ただ、もう少し欲を言えば、営業利益と当期利益が過去最高益なのに増配がたったの+2円の14円はちょっと渋いなとは思いました。
先ほど申し上げました通り、M&Aの費用や、構造改革費用、コロナウイルス関連の調達のキャッシュ返済などのお財布事情があるのでしょう。
何れにせよ、映像事業売却という英断を下したオリンパスが成功すれば、未だ仲良し企業との関係で赤字事業を断ち切れずにいる日本企業にも刺激を与えると思いますし、
「選択と集中」がいかにその後の企業に響くかを教えてくれる良い教材となることは明らかです。
2022年3月期 経営方針
さて、映像事業を売却して慌ただしかったオリンパスの来期の経営指針について軽く触れておきたいと思います。
オリンパスは下記の通り、全ての経営資源をメディカル事業に投じるとして、目指すべき及びあるべき企業像を「グローバル・メドテックカンパニー」と定めております。
医療事業のメディカルと、テクノロジーのテックを掛け合わせたオリジナリティあふれる企業像へと進もうとしております。
そこで決断を下した「事業ポートフォリオの選択と集中」と「固定費の構造改革」ですね。
先述した通り、オリンパスは社外転進支援制度に伴う費用(早期退職金割増とか)を計上して早期にメドテックカンパニーになるべく経営資源の集中と、この事業強化を打ち出しております。
参考までに2020年3月期のオリンパスの映像事業の営業利益を示します。
2018年度は▲183億円、2019年度は▲104億円の赤字ですね。
今は開催されるかどうかわかりませんが東京オリンピックも控えているので、カメラ事業は撤退か存続かかなり経営陣は悩んだと思いますが英断だと思います。
まとめ
最後にオリンパスの最新株価を確認してまとめとさせていただきます。
ここ5年間は映像事業の赤字が利益を押し下げていて株価は1,000円台を推移する暗黒期でしたが、撤退を表明した2020年から上昇し、今は2,500円代が見えてきました。

情がある映像事業とはいえ、経営にマイナスだという赤字という客観的事実があれば売却して、「グローバル・メドテックカンパニー」という新たな目指すべきあるべき企業像を打ち出して経営の抜本的改革を行うのは素晴らしいと思います。
2022年3月期は過去最高となる営業利益、当期利益を打ち出して、「グローバル・メドテックカンパニー」の深化を目指すオリンパスの躍進から目が離せません!
今後も当ブログにて定期的に4半期決算ベースでオリンパスの2022年3月期の業績進捗については確認して定期的にご報告させていただきます!
以上、「選択と集中」戦略が奏功か!?復活してオリンパスの2021年3月期、および2022年3月期の通期見通しについての報告でした!
最近のコメント