こんにちは!ネオコンです。
本日は現在絶賛世間をお騒がせさせていただいております!有名総合電機メーカー、三菱電機について見ていきたいと思います!
絶賛世間をお騒がせ中とは?
はい、
鉄道車両用空調装置等の不適切検査についてです!
三菱電機では、長崎県の工場で製造している鉄道用の空調装置や列車のブレーキなどに使われる空気圧縮機の検査につき、30年以上にわたり不正が実行されていたことが明らかになり、杉山社長は2日の記者会見で、7月中にも責任をとって辞任する意向を示しました。
https://www.mitsubishielectric.co.jp/news/2021/0630-b.pdf

検査不正問題をめぐる記者会見を終え、退席する三菱電機の杉山武史社長=2日午後、東京都千代田区
30年以上にわたり不正が行われていたとか正直呆れて言葉が出てきません。
6月上旬に発覚して、経済産業省、JR東日本、JR東海など大手鉄道会社には報告したものの、月末の株主総会では議題に挙がらなかったとのことで、こんなコンプライアンスに大きく違反する重大行為を株主に報告せずにやり過ごそうとしていた意図が見えて極めて悪質だと思われます。
株主総会で経営陣の続投が承認されているため、何もなければ社長も辞任することなく何食わぬ顔で今期の経営に当たろうとしていたわけです。
一昔前の三菱自動車の不正問題も思い出されますし、三菱電機はこの他にも余罪があるそうです。
日本のものづくりへの信頼を根底から裏切る残念でならない誠に遺憾な事案です😭
ただ、三菱電機自体は、テレビコマーシャル、電車内での広告などで見かけることも多いですし、私たちの身の回りにある家電でも見かける機会が多いので、皆様もご存知の方も多いかと思います。
近年、三菱重工、三菱商事、三菱ケミカルホールディングスといった、三菱グループの重鎮が苦境に直面する中、三菱電機は三菱グループの優等生と言われてきました。
しかし、三菱電機は18年3月期には連結営業利益の6割を稼いでいた「産業メカトロニクス」部門が、米中貿易摩擦や設備投資の減退で一転、業績不振に陥っているなどのピンチもあり、なかなか安泰とも言えないようです。
では経営成績という面では、現在の三菱電機はどういった状況なのか?
不正問題にどうしても関心が行きがちですが、実際の財務はどうなっているのか?
倒産するまでのことなのか?
一緒に三菱電機の2020年度決算および来期の経営見通しについて見ていきましょう!
三菱電機 2020年度実績
決算のポイント
まずは、ざっくりと2020年度の実績と、2021年度の見通しをつかんでおきましょう。その後、次章以降で各年度の詳細につき検証して参ります。
2020年度については、営業利益以下減益、減配となったものの、下期以降、業績が復調し、4Qは前年同期比プラスです。
2021年度については、2019年度(コロナ影響前)の業績水準への復帰を誓うです。
2020年度も、2021年度もどちらも家庭電器がカギを握るようですね。
上記のサマリーを踏まえた上で、2020年度の実績と、2021年度の見通しについて見ていきましょう!
損益計算書
それでは、三菱電機の2020年度の損益計算書を見ていきましょう。
営業利益2,301億円(前年差▲294億円)
税引前利益2,587億円(前年差▲232億円)
当期利益1,931億円(前年差▲287億円)
配当金36円(前年差▲4円)
となっております。
セグメント営業利益ベースで見てみると、重電が+266億円と増益となっておりますが、他のセグメントがほぼ減益となっており、最終的な営業利益も減益で落ち着くという推移となっております。
重電セグメントですが、売上高は国内電力事業の既受注案件の進捗や国内の公共事業の増加によって前年を上回ったことと、費用改善などにより、前年比増収増益となりました。
それでは次に企業活動セグメント毎に営業利益の推移を分解して考察していきましょう。
下記の通り、コロナ影響を受けつつも、緊急改善対策などを講じるも、その他の経営体質強化費、物流費・素材費高騰を受けて、前年比微減の営業利益2,301億円で着地しました。
そして、こちらが損益計算書の本書です。
営業利益2,301億円となった後、営業外で持分法による投資利益が192億円計上できたため、税引前当期純利益は2,587億円となりました。
しかし、この営業外収益である持分法による投資利益は前年も190億円計上できていたため、前年比較では差を生み出さず、結局当期利益ベースで1,931億円で着地、前年差▲287億円で2020年度を終えました。
また、先ほど「コロナ影響を受けつつも、緊急改善対策などを講じる」と申し上げましたので、新型コロナウイルス感染症関連の影響について下記に記載いたします。
営業利益で▲1,700億円分負の影響がありながらも、緊急改善対策で+1,250億円分の補填を行なったが、ネットで▲450億円分が打撃となったことがわかります。
貸借対照表
経営成績では2020年度は減益となりました。
次にバランスシートを見ていきましょう。
連結バランスシートについては、親会社株主帰属持分比率が+2.3ポイント上昇し、借入金比率が▲0.9ポイント減少しました。
あとは、後ほどキャッシュ・フロー計算書のパートでご説明させていただきますが、キャッシュ残高が積み上がっていることもわかります。
キャッシュ・フロー計算書
次に、連結キャッシュフローについてです。
営業キャッシュフローは前年より大幅増、投資キャシュフローは前年と大体同じくらいでフリーキャッシュフローは営業キャッシュフローの増額のおかげで、前年の2倍くらいになりました。
したがって、財務キャッシュフローがマイナスでも期末のキャッシュ残高は7,674億円と前年以上に積み上がりました。
着目すべき点は、当期利益が前年を割ったにも関わらず、営業キャッシュフローが前年と比べてかなり増えた点です。
これは、当期純利益の減少はあったものの、年間を通じた資材・経費等の投入抑制と、下期後半以降の受注回復対応の買入債務等未払いの増加もあったことが理由としてあげられております。
コロナ影響で、多くの企業が借り入れをしてキャッシュ残高を積み上げていったのに対し、三菱電機は負債残高を増やさずにキャッシュ残高を積み増すことができたのでここは良かった点の一つだと思います。
三菱電機 2021年度業績見通し
損益計算書
それでは、三菱電機の来期の経営見通しについて見ていきたいと思います。
営業利益2,600億円(前年比113%)
税引前利益2,850億円(前年比110%)
当期利益2,100億円(前年比109%)
配当金未定(前年差36円)
となっております。
営業利益以下、増益を見込んでいるのですが、配当金が未定であるみたいです。
それでは、事業活動ベースで営業利益を分解して考察していきましょう。
規模変動等で、営業面でのポジティブ要因があるものの、経営体質強化費(開発費、IT投資など)で▲730億円を計上するので、2021年度は前年比微増の2,600億円で仕上がる見通しとなっております。
これは、将来投資が計上されて、前年比微増となるわけなので、プラスと捉えて差し支えないです。
次に事業セグメントベースの営業利益の内訳です。
重電システムは前年の反動があるものの、来期は産業メカトロニクスが前年差+454億円と大きく躍進し、全社的な営業利益を牽引していく見通しとなっております。
株主還元
続いて、先ほど少し触れました株主還元です。
前年2020年度は減配となりましたが、来期2021年度は未定です。
理由としては2つ考えられます。
①純利益獲得による営業キャッシュフローの積み上げに自信がない
当期純利益が減少するも、2020年度は年間を通じた資材・経費等の投入抑制と、下期後半以降の受注回復対応の買入債務等未払いの増加もあってプラスとなったが、この通り、来期もキャッシュを本業で積み上げられるかが不透明
②経営体質強化費(開発費、IT投資など)で▲730億円を計上するので、営業利益が減り、上記と重複するが本業でのキャッシュ創出が厳しい
何れにせよ、配当金の金額を未定にされてしまうと、三菱電機はキャッシュに来期どれだけの自信があるのかが読めないので、ちょっと株主の立場からすると不安になってしまうんですよね。
第1四半期決算あたりで発表されるでしょうから、配当金に関してはそれまで見守るしかないと思います。
まとめ
今回は、総合電機の三菱電機の2020年度決算、および2021年度の見通しについてみていきました。
不適切検査問題抜きで、2020年度は減益となるも、キャッシュは借り入れ無しで積み上げておき、来期は経営体質強化費を織り込んでも増益で2019年度(コロナ影響前)の業績水準への復帰を誓うのは見事です。
一方、株主還元については言及がされていない点は一つの懸念材料として残ったままです。
また、以下はここ1年間における株価推移です。
株価も2020年春の新型コロナウイルス開始時の大暴落からは回復したものの、いまだに2,000円台には届かないまま粘りの推移をしておりましたが、
この不適切検査問題で暴落しました。

ただ、社長辞任の報道を受けて、少し戻しておりますので、三菱電機は今期は経営成績を上げることはもちろん、企業風土の透明化という上場企業として当然のガバナンス強化、ステークホルダーからの信頼回復という課題としてあげられます。
なお、配当金ですが、2019年度は40円、2020年度は36円に減配しております。
来期、来期は経営体質強化費を織り込んでも増益で2019年度(コロナ影響前)の業績水準への復帰を誓うのであれば、正直、2019年度の配当金40円の発表は期待したいところです。
問題山積みのこの大企業ですが、果たしてマーケットからの信頼を取り戻して復活できるのでしょうか⁉︎
四半期決算での増配発表を待ちつつ、三菱電機の今期の経営を見守りたいと思います。
以上、三菱電機の決算分析でした!
それではまたお会いしましょう!
最近のコメント