三菱商事2020年度決算を徹底解説!

三菱商事

さて、5月7日は、私のポートフォリオの最大ポーションを占める三菱商事の決算でした。

他の総合商社を圧倒する強靭な基礎営業キャッシュフローを資本収益で稼ぐ三菱商事は、両親の老後の自分年金として勧めておりますし、

私自身今年の春から海外駐在となり、非居住者として日本の株式市場から数年間退出を命じられその間にこの年齢ながら両親同様配当金を貰う資産構築スタイルを取らざるを得なくなり、三菱商事はこの不労所得エンジンの中でもその中核を担う存在です。

さて、前置きは長くなりましたが、早速分析致しましたので、今年の2020年度の三菱商事の決算を解説させて頂きます。

三菱商事 2020年度決算

2020年度損益

三菱商事の2020年度決算は、連結純利益1,726億円(前年度▲3,628億円)非常に厳しいものとなりました。

すでに競合他社の三井物産と丸紅が2020年度決算を発表しており、それぞれ三井物産6,581億円、丸紅2,253億円と丸紅にすら後塵を拝するという昨年王者の三菱商事にとっては非常に厳しい決算となりました。

(なお、期中から赤字決算見通しを発表していた住友商事は▲1,531億円での着地)

2020年度は新型コロナウイルスの影響もあり、前年比減は告知済みでした。

21年2月に発表した2020年度決算見通しでは2,000億円と発表するも蓋を開けてみると▲274億円の1,726億円の着地と正直物足りない決算となってしまいました。

 

前年度連結純利益5,354億円と今期1,726億円との▲3,628億円のセグメント別ギャップを見てみましょう。

金属資源が▲2,123億円と最も下げ幅が大きいです。

確かに豪州原料炭事業のマイナスはあるものの、前年度計上したチリ銅事業再編での一過性利益の反動という特殊要因もあり、市場環境に左右される市況系のビジネスということでまぁ若干アンコントローラブルな面が否めません。

しかし、着目すべきはコンシューマー産業のローソン宛の暖簾および無形資産の減損損失▲732億円は看過できません。

 

三菱商事は2016年に資源ビジネスの不振を起因とした赤字転落を経験して以降、市場環境に左右されない非資源ビジネス注力を誓っており、今の代表取締役社長も非資源ビジネス出身です。

非資源ビジネスに力を入れると宣言しつつも近年は、資源ビジネスに助けられてなんとか伊藤忠商事に勝って総合商社首位を守ってきたのが三菱商事です。

その三菱商事が伊藤忠のファミリーマートのモデルを真似たのかは定かではないですが、非資源ビジネスのその象徴たるものがローソン子会社化です。

そのローソン事業で多額の減損を計上するとは、5年前の非資源ビジネスの柱が順調に育っていないことの裏返しに他ならず、力を入れると高々に宣言していた非資源ビジネスに不安が残る決算となってしまいました。

2020年度キャッシュフロー

三菱商事の2020年度キャッシュフローの状況は、営業収益キャッシュフロー6,252億円と前年比若干微減という結果になりました。

損益で丸紅以下の4位に転じてもキャッシュフロー は譲らないという盤石なキャッシュフロー 構築基盤は流石と言わざるを得ません。

投資キャッシュフロー は新規・更新投資で▲8,034億円と昨年より2,000億円ほどショートするものの、財政状態が他の総合商社よりも優れているため例年通りの将来のビジネスへの種まきができたと言えるでしょう。

ネットで▲3,573億円と調整後フリーキャッシュフロー 2,679億円と、来期以降にキャッシュを残した形になりました。

 

三菱商事 2021年度業績見通し及び配当見通し

2021年度業績見通し

三菱商事の2021年度業績見通しは、連結純利益3,800億と2020年度に比べて2倍の見通しを設定しました。

しかし、すでに競合他社の三井物産が2021年度業績見通し6,800億円を掲げており、2021年度も三井物産の後塵を拝する見通しとなっております。

明日の伊藤忠商事の決算で発表される同社の2021年見通し次第ではありますが、2021年度も総合商社3位ということになり、早期の首位奪取が求められます。

セグメントベースだと、先述した2020年度に計上したローソンの減損損失の反動を除くと、自動車・モビリティや天然ガスの回復が見込めるとのことです。

また、2020年度に原料炭価格の低迷で凹んだ原料炭価格も保守的に見積もった上での前年度比微増の計画としていることから、期中の上振れもあります。

しかし、世界的な脱炭素の風潮の流れも少なからず受けると見て、三菱商事には一刻も早く市況に左右されずに利益を積みませる非資源ビジネスの強化が求められます。

2021年度株主還元

三菱商事の2021年度株主還元は、2020年度と同じ134円とのことです。

正直、累進配当制を宣言している以上、1円以上の増配は少なくとも宣言されるだろうと考えていた株主の皆様は多かったと思いますが、残念ながらそれが裏切られた結果となりました。

 

配当性向ベースだと、2020年は純利益1,726億円に対して約2,000億円もの配当総額を支払い、配当性向は100%以上となったため、2020年に対しては株主への誠意を感じます。

一方、2021年は純利益3,800億円に対して支払配当総額2,000億円と配当性向は約50%超となっています。

確かに、一般的には株主還元策に対して努力しているという評価も下せそうですが、純利益が前年度▲3,628億円となっても営業収益キャッシュフロー を6,200億円も稼いでいるのを考慮すれば、累進配当制を宣言している以上、1円以上の増配はできたのでは考えます。

ちなみに、三菱商事の決算書類には、他の総合商社と異なり、来期の営業収益キャッシュフローへの言及がなされておりません。

おそらく例年同様6,000億円程度を見込んでいて下さいというメッセージであると思いたいですが、これは不親切なので、改善して欲しいと思っています。

配当原資は、純利益ではなくキャッシュフローであるため、三菱商事からの配当金を貴重な副収入として位置付けている我々株主にとって、来年いくらキャッシュを稼ぐかの情報は純利益よりも大事です。

その点、三井物産のIR資料は好感が持てますね。

きちんと事業セグメントベースで来期の基礎営業キャッシュフローをどう計画しているかが積算根拠とともにわかります。

 

三菱商事 中期経営戦略2021との乖離

中期経営戦略の未達

2018年11月2日に発表した中期経営戦略2021によると、2021年度は純利益9,000億円、2桁のROE、配当200円を声高に宣言していました。

 

今回発表された2021年度の業績見通しとの乖離は下記です。

三菱商事 中期経営戦略2021 2021年度業績見通
連結純利益 (億円) 9,000 3,800
ROE 二桁のROE 6.70%
配当(円) 200 134
配当性向 35.0% 51.2%

正直、純利益も計画の半分にも見ていなければ、配当も圧倒的に足りない。

純利益9,000億円に対して配当性向35%ベースで、配当金200円と計算しているので、純利益見通し3,800億円に対して134円の配当金は配当性向50%を超えていて、若干頑張っていると言えますが、この乖離は大きいです。

2020年5月に世界的権威の投資家ウォーレン・バフェット氏が日本の総合商社5社の株式取得に踏み切ったのは日本で大きなニュースとなりました。

バフェット氏が島国日本の企業の株式取得に動いた初めてのケースであり、増配が当たり前、株主第一主義の文化が根強いバフェット氏の出資が実行された以上、三菱商事を含め総合商社各社には今まで以上の株主還元策が強く求められるになりました。

眠れる獅子、三菱商事には王者としてより一層の経営基盤の強化、株主還元を期待したいです。

三菱商事 決算発表5/7の株価

三菱商事の株価は、決算発表が行われた5月7日13時45分までは、先日の三井物産の決算が良かったため、その流れで三菱商事も良いはずという市場からの期待もあって上昇していましたが、一気に13時45分を境に暴落しました。

その後、若干戻して取引を終えるという形でした。

三菱商事 株価

ただ、暴落したところで、配当134円は維持ですし、配当利回りの分母の株価が小さくなって、配当利回りは4.4%を記録し、引き続き三菱商事の投資妙味は増しました。

三菱商事 決算総括

2020年度の三菱商事の決算の総括ですが、同業で資源ビジネスを展開する三井物産の決算が良かったがために、三菱商事への期待も先行し、その期待を下回ったというのに尽きます。

中期経営戦略への乖離も大きく、市場が期待したほどのスピードで経営が進捗している訳ではないです。

しかしl、純利益が凹んでも安定的に営業収益キャッシュフロー6,000億円を叩きだすキャッシュエンジンは魅力的ですし、不労所得エンジンとして三菱商事よりも魅力的な日本株銘柄は存在しないという考えにも変更ないです。

2021年度も原料炭価格下落に伴う損失など、純利益3,800億円を超えられないマイナス材料も期中の四半期決算で度々出てくるかもしれません。

しかし、マイナス材料が出てきて、株価が3,000円を切るごとに仕込んで行けば信頼の置ける不労所得エンジンとしての旨味は増していくと信じています。

ですので、今回の決算は、あくまでもこれからの三菱商事への期待と込めすぎたが故に辛口での解説になってしまったことをご理解頂き、今回の分析は以上となります。

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