こんにちは!ネオコンです!
昨日に続き、本日も化学メーカーです!2日連続となりますが、最近化学メーカーシリーズは停滞しておりました。
特に、好調であった三井化学、住友化学の記事を書いていて三菱ケミカルHDの記事を失念しておりましたので、三菱財閥の化学メーカー”三菱ケミカルHD”について本日はご報告させて頂きます。
はっきり言って、かつては日本の化学工業界をリードしてきた名門も今となっては、信越化学工業、日産化学といったトップの高利益企業には勝てず、三井化学、住友化学にも負けてかなり厳しい立場に立たされております。
そこで、2021年4月から雰囲気を一発変えるべく、外国人社長の就任が発表されました!!
ベルギー人のジョンマーク・ギルソン社長です!
イケメンですね〜😆
ジョンマーク・ギルソン社長は奥様も化学メーカーでの実績が高く評価されたことはもちろん、奥様も日本人ということがあって、抜擢されたようです。
旧態依然とした沈みゆく三菱ケミカルHDに喝を入れていただくべく来日されました!
また、私はこの三菱ケミカルの株主なのです。
三菱ケミカルは数年前まで配当利回りが良くて、私もそれに釣られて株を買ってしまって、いまだに含み損を抱えるホルダーの一人です。
ですので、株主という立場でも、三菱ケミカルHDの決算分析はしないといけないので、今回は解析したのち、ご報告させて頂きたいと思います。
それでは早速、三菱ケミカルHDの21年3月期決算および22年3月期見通しについて解説していきます!
三菱ケミカルHD 2021年3月期決算
損益計算書
三菱ケミカルHDの2021年3月期決算は、
コア営業利益1,747億円(前年差▲201億円)
営業利益475億円(前年差▲968億円)
当期利益▲76億円(前年差▲617億円)
と非常に厳しい決算となりました。
新型コロナウイルスがあったとはいえ、財務報告ベースの営業利益にすると、コア営業利益の1/3にまで減ってしまうとは。
一過性要因である非経常項目の影響も大きかったように見受けられます。
非経常項目については後ほど触れるとして、まずは、営業実態を表現したセグメントベースでのコア営業利益の増減要因について見ていきましょう。
下記の通り、ケミカルズ、産業ガスの事業領域で減益となっていることがわかります。
特に全社ベースでコア営業利益▲201億円のうち、▲156億円のマイナスを記録したケミカルズの減益は際立ちます。
下記の通り、ケミカルズセグメントの中で特にMMAと炭素事業のマイナスが目立ちます。
どちらも市況下落や原料価格下落等の市場環境の影響を強く受けるビジネスであり、全社的にも見ても、三菱ケミカルHDの自体がまだまだ市況に左右される事業に依存しているビジネスモデルであることを示しております。
そして、本業でもパッとしない三菱ケミカルHDにダメ押しとなったのが、非経常項目の減損損失です。
下記の通り、ヘルスケア事業で▲845億円もの無形資産の減損損失が発生しました。
具体的には、田辺三菱製薬(株)によるニューロダーム社(イスラエル)の買収により取得した技術に係る無形資産が、事業環境の変化に伴い収益性が低下する見込みとなり、それを受けて、減損損失▲84,534百万円を計上したということです。
連結財務指標の推移
三菱ケミカルHDの2021年3月期決算の損益計算書はボロボロで厳しい1年であったことがわかりました。
次に連結財務指標の推移をここ5年間ベースで見ていきましょう。
2018年3月期までははっきり言って好調ではありました。
ROEも17%で、課題のネットD/Eレシオも1倍を切っており、一時期はこのまま数字が良くなっていくのだろうとも思われました。
しかし、2019年3月期からはROEは下降の一途をたどり、ネットD/Eレシオも2倍に近づくのではないかというくらいにまで増加し、一気に資本効率性と財政状態の悪化が懸念されるような状態となりました。
株価がパッとしなくなって下降していたのもこの時期と重なります。
経営成績と財務指標が厳しい中、一つだけまずまずな結果で終わった項目があります。
キャッシュフローです。次に見ていきましょう。
連結キャッシュ・フロー計算書
三菱ケミカルHDの2021年3月期決算は、経営成績、財務指標ともに厳しかったのですが、唯一救いのある項目はキャッシュフローでした。
営業キャッシュフローは前年通り、投資キャッシュフローは昨年以上の設備投資を行い、期末のキャッシュバランスを3,500億円くらいで仕上げております。
悪くはないキャッシュフローであるとは思いますが、これは減配による配当金の支払いが昨年の▲880億円から▲396億円へ半減したことも大きいです。
株主に減配を了承してもらって、確保した期末キャッシュ3,496億円であることを三菱ケミカルHDは肝に銘じて、貴重なキャッシュを来期以降成長事業に投下して、利益回復に努めてほしいと思います。
三菱ケミカルHD 2022年3月期業績予想
2022年3月期業績予想
三菱ケミカルHDの2022年3月期業績予想を下記の過去6年間の棒グラフで整理しておきましょう。
細かい数字は後述いたしますが、2年連続コア営業利益、財務報告上の営業利益2,000億円で沈んでいたのが久しぶりに2,300億円、2,160億円と2,000億円台に復帰する予想となっております。
当期利益も黒字転換する見通しです。
では次に昨年との比較です。
三菱ケミカルHDの2022年3月期業績予想は、
コア営業利益2,300億円(前年差+553億円)
営業利益2,160円(前年差+1,685億円)
当期利益970億円(前年差+1,046億円)
と大きく躍進するとの見通しです。
三菱ケミカルHDは来期から若干事業セグメントの報告単位を変更するようです。
それに従って示された過去5年間に渡ったセグメント別コア営業利益の推移がこちらです。
3期ぶりにコア営業利益2,000億円復帰を計画する2022年3月期は全ての事業セグメントで前年比増益が見込まれております。
さて、ここで2021年3月期と来期の見通しが出てきたところで競合他社との比較を見ていきたいと思います。
下記に三井化学と住友化学とのコア営業利益、当期利益の比較を示しました。
そもそも、三菱ケミカルHDは、数年前に、三菱レイヨンと三菱樹脂等の会社統合して発足しているため、そもそも母体が大きいのでこの三井化学と住友化学には買って当たり前です。
その中で、2021年3月期は三井化学と住友化学はコア営業利益、当期利益ともに増益となったのに、三菱ケミカルHDはどちらも減益で当期利益に関しては赤字転落しました。
コア営業利益(億円) | 三菱ケミカルHD | 三井化学 | 住友化学 |
2021年3月期 | 1,747 | 851 | 1,476 |
2022年3月期 | 2,300 | 1,150 | 2,000 |
当期利益(億円) | 三菱ケミカルHD | 三井化学 | 住友化学 |
2021年3月期 | -76 | 579 | 460 |
2022年3月期 | 970 | 790 | 1,000 |
来期に関しては、住友化学にコア営業利益では、僅差で勝つも、最終的な当期利益では負ける見通しとなっており、正直成長路線に乗っている三井化学と住友化学に取り残されつつある感じは否めません。
これらを踏まえた上で、来期の配当政策について見ていきましょう。
2022年3月期配当の予想
来期2022年3月期の配当予想ですが、引き続き24円の維持となっております。
三菱ケミカルHDは連結配当性向30%を基本としており、来期の1株あたり純利益に対する配当24円というのは配当性向35.1%に相当し、これが妥当とのことです。
減益の中でも2020年3月期は配当性向84%となりながらも32円の配当を決議しておりましたので、こういう株主を大切にする姿勢が好きで、ちょうどこの頃私も三菱ケミカルHDの株を買ったのですが、ここ数年は我慢が続きます。
住友化学や三井化学が来期は増配を決定しているため、できれば同じ財閥化学大手の三菱ケミカルHDにも期待したのですが、まだまだこの回復の業績回復には時間がかかりそうですね。
最後に
今回は名門三菱財閥の化学会社三菱ケミカルHDについて見ていきました。
正直ここ数年間はずっと沈んでいて上昇する気配がなかったのですが、来期やっと復活できいるような青写真を描くことができました。
三井化学といえば電材、住友化学でいえばライフサイエンスなど、まだ三菱ケミカルHDといえばこれといった収益の柱が見つからないのが残念ですが、正直この助っ人新社長にお願いするしかなさそうです(投げやりw)
今ままで日本人ということできれなかった不採算事業もあるでしょうし、外国人社長として利益主義に徹して高利益が取れるような企業体質に転換できるような舵取りをお願いしたいと思います!
三菱ケミカルHDの株は私が海外駐在中ということもあり当分売ることはないので、なんとか企業再生に期待したいところです!
今回の報告は以上です。
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