先日は下記記事にて、海外駐在員の一般的な概要を申し上げました。
今回は駐在員になって資産ブーストを狙っている駐在員希希望の方に対して、金銭面にフォーカスした「金銭面での待遇」「税金面での待遇」および「生活費」について深掘りしていきたいと思います。
※給与面など、一部重複する部分がございますがご容赦くださいませ。
海外駐在員の金銭面での待遇
給与
給与は大きく分けて3つあります。
海外給与、国内給与、ハードシップ手当の3つです。
海外給与:その名の通り、海外で解説したご自身の銀行口座に毎月現地法人経理担当者より現地通貨建てで振り込まれる給与です。
国内給与:こちらは日本で働いていた時と同様に日本時代に使っていた口座に毎月円建てで振り込まれる給与です。インドで散財することはまず無いのでこちらの円建て金融資産こそ帰国後のタネ銭の主たるものとなります。
ハードシップ手当:日本語で危険地域手当てと訳します。その名の通り、日常生活をおくるのが極めて困難とされる国に赴任している駐在員に対して与えられる手当て。
中東・アフリカ・南米といった後進国に手厚く、韓国、欧州、米国といった日本と同水準の生活が送れる先進国に対してはゼロか微小というのが実態です。
ちなみにインドはハードシップレベルが弊社基準でマックスに設定されておりましたので、この恩恵は最大限享受することができました。
(まぁ実生活考えてみると本当に酷い国なので妥当と言えばどの通りです)
ポイントは国内給与振替比率の設定
より多くの金融資産を蓄財するのにまずすべきことは、海外給与と国内給与の振替率の設定です。
駐在する国によっても異なりますが、インドの場合、物価の低いインドで散財するなど想定されないので、帰国時に投資に充てるタネ銭(投資原資)を最大化すべく、やるべきことは、
円建てで日本勤務時代に振り込まれる給与の額を最大化するような割合で設定することです。
極端な話、海外給与と国内給与の割合が9:1でも良いと思っています。
なぜそこまでして海外給与を減らさねばならないのか?そんなに減らして海外現地通貨建ての生活費は工面できるのか?
という疑問があるかと思いますが、それについて下記2点にて申し上げます。
①海外給与は現地物価指数の影響を受けるから
海外給与を設定する際に、円建ての基準給与に現地国の平均物価指数を乗じて海外給与を算出する場合があります。
海外給与=円建て基準給与 * 平均物価指数
ここで厄介なのが、平均物価指数です。
平均物価指数とは、日本で生活した時の指数を100%として時に、党外赴任国での物価はいくらのパーセントで表現できるか、という指標です。
つまり、日本より日本より物価の高い国であれば、100%以上の指数が適用されますし、日本よりも物価の低い国であれば100%以下の指数が適用されます。
つまり、
海外給与は物価の高い国であれば円建て基準金額より多く貰えるし、インドのような物価の低い国であれば円建て基準金額よりも減価された金額しかもらえない
ということです。
故に、冒頭で申し上げました通り、海外給与の割合を低くすべきというのは日本よりも物価の低いインドのような国に赴任した人の意見です。
もちろん、日本より物価の高い国に赴任した人であれば、使える額の総額を増やすという意味では、海外給与割合を高くすべきです。
しかし、物価の高い国にはチップの文化が根強くある、当然ながら食材などの物価が高い、帰任時に現地通貨から日本円に替える際のレート次第で円建ての価値が減価してしまうリスクもあることも考慮すべきです。
故に、そういう諸々の要因を考慮した上で、物価の低い国に赴任する際には、円建て給与を最大化すべき割合に設定すべしと進言申し上げます。
②現地国内出張日当手当で工面できるから
次に現地通貨建て給与の割合を減らしても、海外現地通貨建ての生活費は工面できるのか?について解答申し上げます。
題名の通り、インド国内での出張があれば、国内出張日当手当がつき、かつ出張中は顧客とともに同行することが多く、食事代は顧客もち、もしくは交際費で支払われるので身銭を切る必要がありません。
したがって、海外現地通貨建ての毎月の給与が少なかったとしても生きていけますし、逆に出張日当だけで毎月生活してやるくらいの勢いでプレッシャーかけながら日々の倹約生活に臨んでほしいので、海外給与の割合を最小化することをお勧めします。
なお、
ハードシップ手当は、赴任を命じられた国によって設定されており、本人の努力次第で蓄財額を増やせる問題ではないのでここでは触れません。
海外給与振込口座の銀行普通預金
次に、外貨建て給与が振り込まれる銀行口座における普通預金金利についても着目すべきです。
日本は日本銀行がマイナス金利を発動してから久しく、我々が普段利用している銀行口座、普通預金口座では全く利息がつきません。
しかし、途上国ではインフレのリスクもある一方、日本とは比べ物にならないくらい銀預金、普通預金の利息が高いので、外貨建て給与を預けているだけでも十分な金利を得ることができます。
日本のメガバンクの普通金利は年0.001%なので3,000倍ですね。
普通預金 | |
ICICI銀行 | 3.00% |
パンジャブ国立銀行 | 3.00% |
インド銀行 | 2.90% |
バローダ銀行 | 2.75% |
インドステイト銀行 | 2.70% |
また、インドでは“普通預金”の受取利息に対して、年間最大10,000インドルピーまでの所得控除が認められており、10,000インドルピーを上限に課税されることはありません。
つまり、
10,000ルピー/3%=33,333ルピー*1.5円/ルピー=50,000円
50,000円までの預金であれば非課税ということですね。
もちろん、帰国時に日本円に替える時の為替差損で損失が生じることもあるかもしれませんが、外貨建ての金額自体を利息で稼いで高めておくことは悪くないです。
海外駐在員の税金面での待遇
稼ぐ部分の「給与」面が終わりましたら、次は無駄を削る「税金」面での待遇について詳細にご説明申し上げます。
これらは大きく分けて3つございます。
・所得税
・社会保障費(健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料)
・住民税
所得税
我々海外駐在員は、現地海外子会社の社員という扱いになるので、会社員の業務を遂行することで会社側に提供する役務サービスは、海外現地国で発生するとみなされます。
所得税はその所得を稼いだ国に対して納税する義務が発生するので、原則我々駐在員の所得税は現地国に対して納めることになります。
どの企業も海外に納税する所得税は日本本社が負担するという規則があるので、
実質、所得税は実質無税です。
社会保障費(健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料)
健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料といった社会保障費は全て会社負担です。
これら健康保険などの費用は日本にいるときは給与天引きで処理されておりますが、これを海外駐在員にも適用してしまうと、海外駐在員は日本での医療サービスを国外にいるがために受けられないにも関わらず費用を支払うという状態が生じてしまうため、一般的には会社負担となります。
故に、社会保障費は実質無税です。
そして、現地で傷病し、通院する際の医療費も無料です。薬代も無料です。
住民税
その年の1月1日に日本にいた場合、その年の12月31日まで住民税が発生します。
住民税の年間支払いスキームはその年の6月〜翌年5月まで。
私の場合、図らずも今年2021年1月1日は日本にいてしまったがために、2021年分の住民税を2021年6月〜2022年5月まで支払わねばなりません。
下半期に海外駐在が決定している場合、何かなんでも年末までに出国することが肝要です!
以上の通り、海外駐在員は税務面で非常に恵まれていると言えるでしょう。
駐在員の金銭面・税務面総括
駐在員の収入面、税務面を解説申し上げましたが、非常にどちらも恵まれていると言えます。
日系企業にとって、会社の命令で海外に住んでくれという要請は、一般労働者に対する手当・待遇の中で最高クラスに値する命令であることがわかりますね。
昨今、日本で働く上での賃金手当が厳しくなっている中、海外駐在は最後のフロンティアと言えるでしょう。
特に昨今コロナウイルスにおいて、日本にいても全く楽しめないのに住民税、所得税、社会保障費を引かれて、在宅勤務メインとは言え出社で疲弊して日本が楽しめないのであれば、海外駐在で資産ブーストを狙ってみるのはベストかもしれません。
若いうちから海外を経験できて金も貯まる。
ずっと日本で働いている同期と比べて、人生の豊かさという点での無形資産でも、金融資産でも圧倒できる、海外駐在という戦略がきちんと金銭面・税務面で報われることを今回は解説させていただきました。
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