老舗重工業メーカー『IHI』の今後の株価を予想する

IHI 株価

IHIは、2013年には創業160周年を迎えた、日本を代表する重工業メーカーです。

三菱重工業、川崎重工などとともに、日本の発展を支えてきた歴史ある老舗企業です。

今日はそのIHIの株価分析と今後の見通しについて分析していきます。

創立160周年日本の産業発展に貢献した老舗重工業メーカー

1853年に石川島造船所としてスタートしたIHIは、さまざまな歴史を経て成長を続け、2013年には創業160周年を迎えました。

1853年に江戸幕府が水戸藩に命じ石川島造船所を設立させ、この造船所こそがIHIの始まりとされております。

当時は、西洋式軍艦である「旭日丸」や「千代田形」などの建造に携わったと言われております。

その後下記のように、社会基盤を支える事業に深く携わり、国際社会の発展を重機械という形で着実に支えてきました。

1969年  日本初LNGタンクを完成

1998年  世界最長の吊り橋「明石海峡大橋」完成

2013年  イプシロンロケット試験機打ち上げ成功

2016年  トルコ最長の吊橋「イズミット湾横断橋」が開通

「技術をもって社会の発展に貢献する」という経営理念は、130年経った今も色あせることなく今日のIHIに脈々と受け継がれています。

21世紀の環境、エネルギー、産業・社会基盤における不確実性の高い様々な諸問題を、IHIはこの理念をベースとした重工業のモノづくりという形で、今後も発展していきます。

バランスの取れた売上高事業ポートフォリオ 「社会基盤・海洋」事業の拡充が急務

下記は、2018年度のIHIの売上高比率です。

航空エンジンを軸とした「航空・宇宙・防衛」事業と、車両過給機などに代表される「産業システム・汎用機械」事業が両輪で、その次に産業プラントなどの「資源・エネルギー・環境」事業が続く形となっております。

しかし、大体この3事業が売上高の大半を占めています。

今後は、都市インフラなどの「社会基盤・海洋」事業の拡大を通じて、さらに多様性、バランスの取れた事業牙を構築していくことが求められます。

着実に経営成績を回復中 10年後には営業利益率10%以上を目指す

それでは、IHIの近年の経営成績を見ていきましょう。

2015年から着実に経営成績は回復しつつあり、稼ぐ力は着実につけております。

2018年度には営業利益率5.6%となり、着実に稼ぐ体質には転換しつつありますが、残念ながら2016年に策定した中期経営計画での設定営業利益率7.0%には届きませんでした。

想定以上の市場環境の悪化、特定工事の下振れが継続してしまったこと、為替変動等が影響し、2016年に策定した中期経営計画での目標に届きませんでした。

この点に関しては、IHIも深く反省し、次期中期経営計画を定め、そこで、以下のように2021年度の経営目標を定めました。

10年後に、売上高2 兆円規模、安定して営業利益率10%以上を実現する。

そのために、従来とは異なる価値観でのビジネスの転換を図っていくとしております。

具体的には、火力発電用ボイラの事業において、既存プラントを改造し発電効率を高めることで、従来と比べて大幅に二酸化炭素の排出量を減らすなどの価値を生み出すことです。

もちろん、化石燃料を使用しない発電システムへの切り替えが一番ですが、できるところから少しずつ地に足がついた改善を重ねることで収益構造改善に着手します。

いつも経営がうまくいっている会社なんてありません。

減益であれば責められて当然ですが、目標未達であってもきちんとその反省を生かして、次への行動計画を示しているIHIは評価できます。

是非とも10 年後に、売上高2 兆円規模、安定して営業利益率10%以上を実現することを期待したいです。

財政状態は現状維持のまま 今後健全化が急務

さて、続いてはIHIの財政状態を見てみましょう。

自己資本比率は20%台、D/Eレシオ昨今ようやく1.0倍を切ったということで、正直課題が残る財政状態です。

先ほど申し上げました通り、経営成績をこれから立て直そうとするときに、バックで支えるのがこの財務基盤なのですがここが強固でないと、経営成績が今後振るわなかったときに厳しい状況に直面するかもしれません。

IHIは着実に稼いで、そのお金をきちんとプールして、有利子負債の返済に充てるなり、自己資本比率の回復に努めるなり、財政状態健全化に真剣に取り組まねばなりません。

投資CF-は評価できる一方、営業CFの強化が課題

さて、続いてはIHIのキャッシュ・フロー計算書を見てみましょう。

投資キャッシュ・フローは5年間連続でマイナスとなっており、重工業メーカーとして研究開発を重視した堅実な姿勢が評価できます。

しかし、一方、営業キャッシュ・フローが5年間プラスで推移しているものの、2018年は前年を下回り、やや課題が残る形となってしまっております。

今後は、売上債権の早期回収や棚卸資産の圧縮による運転資本の縮減を通じて、営業キャッシュ・フローを高める努力をしていく必要があります。

営業キャッシュ・フローできちんと稼がないと、投資キャッシュ・フローに充当する現金がなくなってしまい、借入金に頼らざるを得ない状況になってしまいます。

先ほど申し上げました通り、IHIの財政状態はそこまで優れた状態ではないので、より一層、収益性の向上とキャッシュ創出力の強化が強く求められます。

ROEは10%超 今後も資本を効率的に生かした経営を期待

それでは次に、IHIのROEについてみていきましょう。

財政状態とキャッシュ・フロー経営の部分で厳しい話をしてしまいましたが、ROEについては年々改善されており、2018年度には10%を達成しているので評価できます。

経営課題が残っていても配当は行う優良企業

今まで申し上げてきました通り、IHIは経営成績とROEの面では評価できる一方、財政面、キャッシュマネジメント面では課題が残る形となっています。

配当に関しては、好成績を反映してきちんと配当を行っているので評価できます。

財政面と、キャッシュマネジメント面の帰郷を理由に無配にする企業とは違って、株主を大事に思っていることが分かるので株主還元に関してはよろしいかと思います。

なお、2019年の予想年間配当額は前年同様70円となっております。

株価はここ1年で減少中 割安圏内にある

IHIの株価は2019年11月1日時点で2,669円となっています。

経営指標的に全て優秀であるわけではないので、過去年間を振り返っても株価が微減で推移している理由もわかります。

IHI 株価

過去5年間のPBRの推移を見てみても、この3年間で減少し、2018年にはPBRは1.0倍にまで落ちてしまったので、割高だったIHIの株価が適正なゾーンに入ってきたことを意味します。

現在、PERは現在10.33倍程度、PBRは1.19倍程度となっています。

PBRが1.0倍を超えているので、若干期待は込められているものの、過去のIHIの株価の中でもお得な割安圏内に位置していると言えます。

なお、配当利回りは2.62%となっています。

まとめ

IHIは、創業160周年を迎えた老舗企業ですが、経営課題がすべて解決しているわけではありません。

今後のビジネスには経営的には期待できるものの、財政状態、キャッシュマネジメント面で不安がないわけではありません。

しかし、160年も倒産せずに今日まで生き残っているということは、これまでいくつもの経営危機を乗り越えてきた実績もあるとも言い換えられます。

そうであるならば、IHIが宣言した、

10 年後に、売上高2 兆円規模、安定して営業利益率10%以上を実現する。

というメッセージを信じて投資してみるのも一つの判断だと思います。

いずれにせよ、過去1年間で最も安く、過去3年間で最も割安という評価がなされているので、IHIの未来を信じるのであるならば、今現時点で買った方が得策です!

以上、IHIの株価分析と今後の見通しについての分析でした!

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