こんにちは!ネオコンです。
本日はちょっと昔に遡るのですが、JXTGホールディングスの2019年決算について見ていきたいと思います!
JXTGホールディングスは今のENEOSの前身です。
本当はENEOSの2020年決算を分析したかったのですが、その前にENEOS(JXTGホールディングス)の2019年の解析をしていないと、流れとして2020年の分析が正確にできないと判断しました。
そこで、今回は急遽、2020年のENEOSの決算を掴む目的でJXTGホールディングスの2019年決算について分析し、ご報告させて頂きます。
JXTGホールディングス 2019年度 通期業績
損益計算書
それでは、JXTG HDの2020年度の通期業績を前年度と比較しながら見ていきましょう。
下記の通り、新型コロナウイルスの影響、資源価格急落、石油化学製品マージン下落の3つの影響を受けて、在庫影響を除いた影響利益ではかろうじて黒字化としたものの、最終的な営業利益および当期利益では大幅な減益となり、赤字転落してしまいました。
営業利益▲1,131億円(前年差▲6,502億円)
在庫影響除いた営業利益967億円(前年差▲4,190億円)
当期利益▲1,879億円(前年差▲5,102億円)
昨年が、営業利益5,371億円、当期利益3,223億円と順調な損益を計上していた分だけあって、JXTGにとっていかに2020年が苦しい年であったかがわかります。
特に新型コロナウイルス感染症が始まった4Q(2020年1月〜3月)は本当に厳しかったです。
上記の通り、エネルギーで▲1,067億円、石油・天然ガス開発で▲789億円、金属で▲25億円と1-3Qの9ヶ月で積み上げてきた営業利益を一気に蒸発させる形となりました。
ちょうどこの時期、海外でも石油大手のエクソンモービルも同じように大打撃を受けて株価は暴落したので、同業のJXTGも同様に大ダメージを受けたということですね。

エクソンモービル 株価
80ドル近辺で推移してた株価が半減してしまったのがこの時期です。
下記の通りちょうど、JXTGも2020年3月に過去5年間で最低となる株価を記録してしまっていることがわかりますね。

ENEOS 株価
正直、JXTGというエネルギー系の企業の場合、市況に経営成績が左右されることは否めませんが、ここまでかと痛感せざるを得なかったのが、2020年4Qの数字ですね。
この大打撃を受けて、JXTGは2017年度〜2019年度の第一次中期経営計画の最終年度をかなり痛手を負った形で終えることになります。
それでは次に、JXTGの第一次中期計画の計画と実績との検証に移りましょう。
第一次中期計画の検証
下記の通り、2017年度〜2019年度までの3ヵ年の第1次中期経営計画ですが、昨年の2018年度までは非常に良いペースで実現できていたことがわかります。
在庫影響除いた営業利益:2018年度に目標の5,000億円を上回る5,157億円を達成
フリーキャッシュフロー :3ヶ年累計5,000億円の目標を初年度の2017年度6,120億円を実現して達成
ネットDEレシオ:2017年度と2018年度は目標の0.7倍以下の0.6倍で推移していたのに、最終年度の2019年度に0.7倍と計画通りで終える。
ROE:2017年度と2018年度は2年連続で目標の10%を上回るROEを達成するものの、最終年度2019年度は最終損益赤字で達成できず。
最終年度に損益項目、財政状態項目で悪化するものの、株主還元の見地では、3年連続の増配と自己株式取得を実行しており、高く評価できる3ヶ年の第一次経営計画の仕上がりであったと思います。
次に、第1次中継経営計画遂行中に実行すると宣言していたシナジーの進捗状況について見ておきましょう。
この期間中は、JXTGグループのエネルギー、石油・天然ガス開発、金属の3領域を組み合わせたシナジーを起こすと言っておりました。
どの領域についても右肩上がりの成長を遂げており、きちんと計画通りに進捗できていたことがわかります。
何度も申し上げますが、2020年1−3月の不幸さえなければ、非常に良い形で第1次中期経営計画を締めくくることができたことがわかります。
(もちろん、ビジネスにたらればはないのは百も承知ですが、、、)
JXTGホールディングス 2020年度 通期業績見通し
損益計算書
では、赤字転落で終わった2019年度のリベンジを果たすべく、JXTGが目指す来期2020年度の経営計画の見通しについて見ておきましょう。
JXTGの2020年度の経営成績の見通しは
営業利益1,100億円(前年差+2,231億円)
在庫影響除いた営業利益1,650億円(前年差+683億円)
当期利益400億円(前年差+2,279億円)
となっております。
2020年1−3月に生じた一過性損益の反転が大きく影響し、在庫影響を除いた営業利益は前年差+683億円の1,650億円を見込むため、最終的な営業利益も1,100億円と黒字化を見込んでおります。
ただし、新型コロナウイルスの影響を上期は受けると想定しており、2018年度に営業利益5,000億円を突破したレベルまでの回復は期待できません。
営業利益1,100億円とはまだまだJXTGが完全復活するまでには数年間かかりそうな気がしますね。
配当について
そして、このような黒字転換の予算を来期見込む中での株主還元政策について見ておきましょう。
来期は配当金は2019年度と据え置きの22円を計画しております。
2017年度からの3ヶ年の第1次中期経営計画期間中は一貫して3年連続の増配を実現してきましたが、流石に来期は維持のようです。
まとめ
今回は、2020年度のENEOSの決算分析を行うべためにも、その前年に赤字転落してしまっているJXTG(ENEOSの前身)の2019年度決算を踏まえておかねばならないということで、このJXTGの2019年度決算を分析し、報告させていただきました。
正直、第1次中期経営計画は新型コロナウイルスの影響および資源価格の暴落さえなければきちんと仕上げられたと思いますし、この一過性要因の影響を除けばマーケットからも評価される企業経営を遂行していたと言えます。
来期はENEOSとなって臨むわけですが、どうなったのでしょうか。
近日中にENEOSの決算分析についてもさせていただき、ご報告申し上げる予定ですので、是非とも皆さまご覧になっていただけますと幸いです!
日本版エクソンモービルとも言われるJXTGの決算でした。
正直、投資妙味があると思いましたので、今回はその前段階となる2019年度決算について申し上げました。
それではまたお会いしましょう!
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