ちゃお!ネオコンです!
本日は、我が国最大の有名企業トヨタ自動車グループの系列会社筆頭であるデンソーについて見ていきたいと思います!
新型コロナウイルスの営業で、2021年3月期は当初は大幅な減益と見込んでいたトヨタ自動車でしたが、自前のコスト削減などの企業努力でなんとかその影響を最小限に留めて、営業利益は減益となるものの、当期利益は増益で締めくくる意地の決算を見せてくれました。
トヨタ自動車がここまでコスト体質を強化できたのもデンソーのような系列会社の協力なしにはなし得る得ることはできません。
今年に入って、脱炭素社会、ESG投資、EVなどの新しいビジネス環境の影響も多分に受けて、今自動車業界は100年に1度の大転換期です。
そんな中、ものづくり日本の自動車メーカーを支える有名企業デンソーの2021年3月期および来期2022年3月期の経営見通しについて一緒に見ていきましょう!
デンソー 2021年3月期決算
過去5年間の重要経営指標の推移
最初にざっくりと、昨今のデンソーの経営成績のイメージを掴んでいただくために、下記の過去5年間にわたるデンソーの売上収益、営業利益、当期利益についてご覧ください。
デンソーは2020年3月期が営業利益、当期利益ベースで大幅な減益となっておりましたので、この2020年3月期と比べるのは議論の余地がありますが、この2021年3月期は、その前前年の2019年3月期の半分くらいの営業利益、当期利益くらいの実力であったとご理解下さいませ。
参考までに前期2020年3月期の減益理由を下記にて申し上げます。
✔︎売上収益は、車両生産の減少に加え、新型コロナウイルス感染症の 影響などにより減収。
✔︎営業利益は品質費用の引当や売上減少にともなう操業度差損などにより減益
それでは、この2021年3月期は、その前前年の2019年3月期の半分くらいの営業利益、当期利益くらいの実力であったということを念頭に入れつつ、早速2021年3月期の決算のポイントから見ていきましょう!
決算のポイント
まずは2021年3月期の決算のポイントです。
営業利益につきましては、後述しますが、止血・体質変革の効果があって、大幅な増益となった
来期は営業利益4,130億円を目指す
と述べられております。
力強いのが来期の営業利益4,130億円を目指すということです。
下記の右側のグラフは先ほどお示しした過去5年間の営業利益、当期利益の推移ですが、来期2022年3月期に営業利益4,130億円を目指すということは、過去5年間で最高の2018年3月期の4,127億円を超えるということで、デンソーの完全復活を意味することになります。
それでは、次に定量的にデンソーの損益計算書を読み解いて2021年3月期の実力を見ていきましょう。
損益計算書
次に、デンソーの経営成績について見てまいります。
デンソーの2021年3月期決算は、
営業利益1,551億円(前年差+940億円)
税引前利益1,938億円(前年差+1,042億円)
当期利益1,251億円(前年差+570億円)
と大幅に落ち込んだ前期を営業利益と当期利益ベースで倍増する結果となりました。
先ほど前期2020年3月期は新型コロナウイルスの影響で大幅な減益になったと申し上げました。
この影響を細かく精査すべく、下記のとおり四半期営業利益ベースで見ていきたいと思います。大幅な減益となったのは、前期2020年3月期の4Qと今期2021年3月期の1Qです。
今期に関しては1Q以降復調し、最終的な年間累計営業利益1,551億円で仕上げることができました。
デンソーとしては鬼門は前期の4Qと今期の1Qで徐々に復調できたことから、前述しました通り、来期は過去5年間で最高の2018年3月期の4,127億円を超える営業利益を打ち出せたのでしょう。
次に営業利益が大幅減益であった前期2020年3月期からどうやって倍増できたかについて迫りたいと思います。
下記、今期2021年3月期の製品別売上収益の積み上げ棒グラフです。
製品ごとにばらつきはあるものの、概ね全製品で前年を割り込んでおり、PL一番上の営業収益ベースだと今期2021年3月期は減益です。
しかし、下記の前期からの営業利益増減要因から分かる通り、「体質変革・止血」により、コロナ影響などを除いた営業利益では4,081億円となっており、過去5年間で最高の2018年3月期の4,127億円に迫る実力を2021年3月期中に有していたことがわかります。
なお、「体質変革・止血」とは、コストカット、ソフト開発ツール導入による研究開発の効率化やデジタル化を指すそうです。
このようにデンソー社内内部での涙ぐましい経営体質の転換という涙ぐましい努力があってこその、売り上げが減収となっても営業利益を倍増させることができたと言えます。
次に、所在地セグメント別情報についても軽く触れておきたいと思います。
右側の営業利益ベースでご覧ください。
日本とアジアでは増益となっていることがわかります。
欧州と米州は減益となっているものの、全世界的に黒字を死守したことは「体質変革・止血」を講じたことによる一つの成果です。
デンソー 2022年3月期通期予想
損益計算書
それでは、来期は過去5年間で最高の2018年3月期の4,127億円を超える営業利益を打ち出したと申し上げてきた、肝心の来期2022年3月期の経営見通しについて見ていきましょう。
デンソーの2022年3月期決算は、
営業利益4,130億円(前年差+2,579億円)
税引前利益4,510億円(前年差+2,572億円)
当期利益3,170億円(前年差+1,919億円)
と過去5年間で最高の2018年3月期の営業利益4,127億円、当期利益3,206億円に迫る復活を誓った経営見通しを発表しております。
そしてこれをを増減要因別に分解して解析していきましょう。
来期も引き続き販売及び生産性向上の努力は継続していくものの、着目すべき点は、外部特殊要因▲900億円を除く営業利益では5,030億円を計画しており、この数字だけだと、過去5年間で最高の2018年3月期を超えていることがわかります。
新型コロナウイルスでここ2年間は苦しめられてきたデンソーですが、来期は本当に期待できそうです!
設備投資
また、来期以降の研究開発、設備投資のついても見ていきましょう。
研究開発、設備投資はともに2021年3月期は若干前年比減となったものの、来期は研究開発費については微増の4,950億円を計画、設備投資においても微増の3,950億円を計画しております。
研究開発費といった将来の投資的な費用を鑑みても増益で仕上げられるデンソーは素晴らしいですね。
将来ビジネスへの種まきにも積極的な点は、長期的な投資という点でも高く評価できます。
株主還元
株主還元につきましては、下記の通り、4年連続140円で据え置きです。
来期は特殊要因を除く営業利益は5,030億円を計画しており少しの増配は期待したのですが現状維持という配当政策だそうです。
渋いなとは思うのですが、前期2020年3月期と2021年3月期が利益が少なかったにも関わらず140円を維持して配当性向が159.3%、86.7%と高くなっても減配しなかったので、その時の大盤振る舞いの回収という意味でも140円維持ということだと理解しております。
今後は、営業利益がコンスタントに5,000億円を超えられるようになれば、自ずと増配も発表されるはずですので、とりあえず来期のデンソーの経営成績に期待しましょう!
最後に
最後にデンソーの現在の株価を見ておきましょう。
過去5年間でデンソーの株価は120%増となっております。
新型コロナウイルスが始まった2020年3月ごろは今後の業績の不透明さが如実になった売りが先行して一時は3,000円にまで下がったものの、その後巻き返して現在過去5年間で最高域で推移するようになりました。
この株価という点でも2021年3月期はデンソーにとって激動の1年でした。

今回の決算解析を通じて、私は確実にデンソーが過去5年間で最高成績であった2018年3月期を超えられてさらにその先に行けるようなポテンシャルを感じました。
マーケットからもその期待があるがゆえに、PBR1.50倍という値もあるし、今のこの株価があるのだと思います。
今後も当ブログでは四半期決算ごとにデンソーは重要チェック銘柄としてwatchしていく所存ですので、引き続き決算分析、報告をさせていただきます。
さすがは日本の屋台骨、トヨタ自動車を筆頭とする自動車産業を支える第一企業デンソーです!
と言える良い決算でしたね!来期のデンソーの経営成績にも期待しながら本日はここまでとさせていただきます!
ありがとうございました!
今回の報告は以上です。
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