本日は、コロナで苦境に立たされた代表業界である鉄道業界より、絶対的エースである東海旅客鉄道(JR東海)の決算分析結果をご報告させていただきます!
ご存知の通り、航空業界、鉄道業界は就職人気企業ランキングにも常に上位にランクインして、経営も安定しているインフラ企業の代名詞的な存在でした。
その常識が一気に覆された2020年からの新型コロナウイルス
東海道新幹線というドル箱を有しており、高い利益率を誇る鉄道業界の絶対的エースであるJR東海ですら赤字に転落した「魔の2021年3月期決算」
JR東海は高利益率だし、歴代社長は全員、東京大学出身ということで「JR東大」とも言われている最強企業のはずだったのですが、、、
兄弟であるJR東日本も厳しい現実を突きつけられたのは皆様もご存知の通りかと思います。
今回のコロナウイルスで状況は一変してしまったそうです。
JR東海が4月26日大引け後(16:00)に決算を発表。22年3月期の連結経常損益は672億円の赤字(前の期は2620億円の赤字)に赤字幅が縮小し、23年3月期は2170億円の黒字に浮上する見通しとなった。
直近3ヵ月の実績である1-3月期(4Q)の連結経常損益は525億円の赤字(前年同期は1143億円の赤字)に赤字幅が縮小し、売上営業損益率は前年同期の-41.4%→-14.3%に急改善した。
なんか今季は昨年に引き続き厳しい状況が継続したそうですが、兆しは来季に見出せるとされております!
それでは、定量的に、JR東海の2021年3月期の経営成績のレビューおよび来期2022年3月期の経営見通しについて一緒に見ていきましょう!
東海旅客鉄道(JR東海) 2022年3月期決算
前提条件
JR東海の2022年3月期決算を振り返る前に、JR東海が直面した2022年3月期のマクロ環境からおさらいしておきましょう!
3Qまで徐々に盛り返していた新幹線需要も4Qに入って激減し、前述しました通り、▲525億円の経常赤字になりました。
原因は下記の通り、オミクロン株を主とした新型コロナウイルス拡大による外出自粛が大きく響いております。
このような厳しい環境下であっても、JR東海は、収益拡大のために下記のような政策を講じて参りましたが経営が上向くことは今期は叶わなかったようです。
では早速、今期のJR東海の経営成績を振り返ってみましょう!
損益計算書
JR東海の2022年3月期決算は、
営業損益17億円(前年差+1,864億円)
経常損益▲2,620億円(前年差+1,947億円)
当期利益▲519億円(前年差+1,496億円)
と前年からは回復したものの、経常赤字、および最終赤字で着地するという2年連続の非常に厳しい決算となりました。
正直、あの不敗神話を有するJR東海ですら、コロナには勝てなかったのかと言わざるを得ない結果です。
2年連続で絶対王者が陥落したということです。
2019年度はかつて最終4,000億円近くあげていたモンスター企業ですが、ここ数年は本当に創業以来の難局に直面しております。
こちらが、2022年3月期の単体決算のPLです。
営業損益が▲12億円となっております。一方上記の連結では営業損益は+17億円とありますので、連結調整の部分はありますがざっくり、鉄道のマイナスを他の事業セグメントが補填してなんとか連結営業黒字化を死守したという見方ができますね。
流通業、不動産業、その他と鉄道の他に様々なビジネスがあったのでなんとかなったという非常に鉄道一本足打法の歪な事業ポートフォリオであることが浮き彫りとなりました。
かつては鉄道単体で6,230億円もの営業黒字を2年前までは計上していたのが嘘みたいですね。
キャッシュ・フロー計算書 長期債務実績
JR東海のキャッシュ・フロー計算書と長期債務実績について下記の通り示しました。
営業キャッシュ・フロー
昨年魔の▲1,693億円となったものが、+717億円となったので一安心です。これ以上の本業でのキャッシュが獲得できない最悪の事態はもう御免ですからね。
投資キャッシュ・フロー
投資キャッシュ・フローは▲1,347億円と前年差+4,177億円とかなり支出を絞った形となりました。
投資キャッシュ・フローも▲1,530億円と前年同期レベルであり、かつては2年前▲5,500億円もの投資をしていられるだけの余裕は今のJR東海にはないですね。
一気に厳しい資金繰りをマネージしなければならない企業に転落してしまいました。
財務キャッシュ・フロー
投資キャッシュ・フローは▲191億円となり、やっとマイナスに転換できました。
これ以上の借り入れは御免ですし、来季はしっかりとキャッシュを本業で獲得してかつてのキャッシュリッチ企業に転換していかないとこれからの中央新幹線で金がバンバン必要となってくる以上しっかりとやっていかねばなりません。
東海旅客鉄道(JR東海) 2023年3月期業績予想
前提条件
JR東海の2023年3月期決算を論じる前に、JR東海が想定している2023年3月期のマクロ環境を抑えておきましょう!
JR東海は、4Qを底として、2022年度通年通じて徐々に尻上がりに新幹線需要は回復するという見立てで今回年初の予算を組んでおります。
損益計算書
JR東海の2023年3月期業績予想は、
営業損益2,900億円(前年差+2,882億円)
経常損益2,170億円(前年差+2,842億円)
当期利益1,460億円(前年差+1,979億円)
と営業損益以下、来季こそは3年ぶりの黒字転換する見通しとなっております。
かつて純利益4,000億円の企業はここまでコロナに苦しむだなんて。
やはり、コロナの企業への影響を推し量る上で、鉄道、航空会社の決算はまさにこれらを定量的に反映していると言えます。
下記は単体の業績予想となりますが、しっかりと営業費用が増えても利益を獲得できることから本当にマクロ環境が好転することを前提にした業績予想と言えます。
したがって、この通り新型コロナウイルスの状況が沈静化することを願いますが、そうでなかった場合には、配当など一流企業としてのプライドを維持するためにもさらなる人件費の削減などの経費削減の課題は常に認識しておくべきかと思います。
東海旅客鉄道(JR東海) 中央新幹線の状況
ここで、ビックプロジェクト中央新幹線の進捗について、定量面につき軽く触れておきましょう。
2022年度は昨年比+1,000億円プラスの3,750億円もの設備投資が計画されており、この投資キャッシュを獲得するためにも、JR東海は死ぬ気で2022年度の営業活動にあたる必要があります。
巨額の資金が必要と試算されており、これを賄うため、正直JR東海としては、コロナ禍とか関係なく一円でも多く利益を出してキャッシュを獲得したいのが本音なのです。
またお金の問題だけではなく、通過予定地の静岡県での水資源問題について静岡県との協議が妥結しておりませんので、ここの交渉も丁寧な説明で住民の皆様から了承を得ることが必要です。
中央新幹線が今後のJR東海の収益事業になっていくことは間違い無いので今後コロナのみならず険しい道のりを乗り越えていく必要があります。
株主還元
下記はここ20年間くらいのJR東海の株主還元の軌跡を示しております。
2021年3月期の赤字転落で10数年間継続していた増配がストップとなり、一転減配となりました。
今期も赤字転落となりましたが、減配せず、来季も引き続き現状据え置き130円という形で発表されております。
最後に
最後にJR東海の現在の株価を見ておきましょう。
現時点株価16,560円は過去5年間で11%下落した値であり、新型コロナウイルスが始まった2020年2月以降今までキープしてきた株価20,000円台を割ってからは、ずっと株価2万円以下のあたりで推移しております。

JR東海は中央新幹線というビックプロジェクトを抱える以上、原資をきちんと獲得してさらなる高みを目指していかねばならない以上、他のJR各社とは異なるもっと高いレベルでの経営が今後もマーケットから求められてきます。
何れにせよ、我が国屈指のエース鉄道企業であることは変わりません。
コロナウイルスという逆境に負けず引き続き強い絶対的エースとして君臨続けて欲しいです!
ありがとうございました!
今回の報告は以上です🙇♀️
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来月5月はいよいよ3末決算企業の通期決算発表がございますが、高配当で魅力的な戦略銘柄中心に決算分析記事をご報告させていただきたく存じますので、引き続きさとり世代の株日記をご愛顧の程お願い申し上げます🙇♀️
長くなりましたが、今回もお付き合いくださりありがとうございました😊
また次回の記事でお会いしましょう〜
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