AGC(旧旭硝子)2020年度決算を徹底解説!

AGC株式会社(旭硝子) 2020年12月期 通期決算 説明会資料

こんにちは!ネオコンです!

本日はAGC(旧:旭硝子)の2020年12月度決算につき解説の方させていただきます!

AではじまりCでおわる〜素材の会社はAGC〜♩

のCMでおなじみのこの会社

BtoB企業なのに対消費者向けのテレビコマーシャルに出すお金があるなんてすごいな〜っていつも思って見ています。

以前分析したことがあるので、お時間ございますかたは是非下記をご覧になってください!

AGC株式会社 株価
AGCは、1907年に設立された、世界最大手のガラスメーカーです。 主力商品は、建設用ガラス、フッ素化学製品で、三菱グ...

就活でも素材業界の難関企業として有名で、超一流大学の就活生はこぞってエントリーする企業がAGCです。

AGCは12月決算なので、すでに2020年の決算は終わっており、現在6月なのですでに2021年第一四半期の決算も出ています。

当然現状の2021年第一四半期決算も見ていきたいのですが、その前にまずは2020年をまとめておかないと、流れがわかりませんので、この度急遽記事を書かせていただいております!

AGC 2020年12月期 通期業績

損益計算書

それでは、AGCの2020年12月期の通期業績概況を見ていきましょう。

下記の通り、新型コロナウイルスの影響をかなり受けてしまい、売上高、営業利益ともに減益となってしまいました。

しかし、新型コロナウイルス影響額のマイナスインパクトが前年比のマイナスインパクトより上回っていることから、新型コロナウイルスさえなければ前年と比べて増収増益であったことが、引き算でわかります。

後述しますが、祖業であるガラス事業と化学品事業が特に強く新型コロナウイルスの影響を受けたようです。

 

そして、来期2021年12月期はきちんとV時回復を実現し、前年と比べて増収増益となる模様です。

さて、続きまして、新型コロナウイルスの影響により、残念ながら減収減益に沈んだAGCの2020年12月期の通期業績を細かく見ていきましょう!

 

売上高では、先ほどお示ししたガラス、化学品のマイナスが大きく響いていることがわかります。

営業絵利益ベースでは、一般管理費のコスト削減効果もみ受けらるものの、原燃料材料価格などの高騰もあり、営業利益はマイナス。

税引き前利益部分では、売上高のところでも言及しましたが、ガラス事業の点で、欧州にて構造改革費用計上が必要と判断され減損計上、特別損失が発生しております。

故に、AGCの2020年12月期の純利益は前年差▲117億円となる327億円で仕上がりました。

セグメント別営業利益

では、前年差▲258億円の758億円となったAGCの2020年12月期の営業利益の本業の儲けの実態を探るべくセグメントベースで見ていきましょう。

 

営業利益ベースの減益要因は非常に明快で、先ほど申し上げました通り、ガラス▲258億円と化学品▲125億円のマイナスに尽きます。

電子につきましては化学品のマイナスを帳消しにするくらいの増益となっており、新型コロナウイルス禍においても非常に高いパフォーマンスを示しました。

四半期業績トレンド

全てのPL項目で減益となったAGCですが、2021年12月期に向けて復調の兆しはすでにございますので報告させていただきます。

新型コロナウイルスの影響で2020年2Qは営業利益が四半期ベースで赤字転落してしまうほどの打撃を受けたのですが、その後徐々に回復している様子がわかります。

直近の4Qの売上高、営業利益は前年を超えるレベルにまで急回復している様子がわかります。

 

したがって、PLベースでは新型コロナウイルスという不確定外部要因によって本来の実力を発揮できなかったAGCですが、来期に向けて利益を創出する体制基盤が再構築されているのが見受けられます。

それでは続きまして、AGCの2020年12月期の財政状態について見てまいりましょう!

連結財政状態計算書

次に、貸借対照表です。

AGCはD/Eレシオも低くて財政状態は健全で有名だったのですが、今年度は新型コロナウイルスの影響をもろに受ける結果となってしまいました。

キャッシュが大きく痛み、借り入れを行なったため、一気にD/Eレシオが昨年0.47倍から0.63倍への1.5倍も上昇しました。

 

D/Eレシオが1倍を切っているので問題ないと言えばそれまでなのですが、健全な財政マネジメントを行ってきたAGCですので、来期以降の経営成績の好転とともに、今後再び財政状態の回復を行ってくるでしょう。

連結キャッシュフロー計算書

次に、キャッシュフロー計算書です。

先ほど多く借り入れを行ったと申し上げましたので、2020年12月期のキャッシュフローの推移についても見ておきましょう。

営業キャッシュフローは前年比増、投資キャッシュフローは昨年以上のマイナスとなっており、フリーキャッシュフロー はマイナスとなっております。

で、財務キャッシュフローが大幅なプラスとなっておりますので、結構の額の借り入れを実行したことになります。

 

AGCとしては昨年も営業キャッシュフローの大半を投資に回しており、フリーキャッシュフロー が僅かだったので、今年それ以上に投資を実行する計画であれば、この巨額の借り入れはやむを得ないでしょう。

なお、配当は昨年と同額であり、減配したわけではないので、そこまで悲観するまでもないと思われます。

戦略事業の利益貢献

BSとキャッシュフロー の部分で若干暗い話をしてしまったので、来期への希望となる話に最後に触れた上で、今期の分析パートを締めたいと思います。

AGCは祖業のガラスや化学品といった伝統的な事業とは別に、成長ドライバーとなる戦略事業の育成を着々ととり進めております。

下記をご覧ください。戦略事業はモビリティ、エレクトロニクス、ライフサイエンスの3つですがこの積み上げ棒グラフが常に毎年右肩上がりで推移していることがわかります。

先ほど2020年12月期も化学品のマイナスを帳消しにするくらい電子、つまりエレクトロニクスが躍進したと申し上げました。

このエレクトロニクスのみならずライフサイエンスも伸びが顕著に見受けられますので、来期以降ますますAGCの躍進が楽しみですね!

AGC 2021年12月期 通期業績見通し

損益計算書

さて、それではAGCの2021年12月期の通期業績見通しを見ていきたいと思います!

AGCの2021年12月期の業績予想は、

営業利益1,000億円(前年差+242億円)

当期利益560億円(前年差+233億円)

ROE5.0%(前年差+2.1%)

昨年からの復活を誓う力強い決算となっております。

 

ただ、配当が増配なしの維持というのは実感渋いな〜とは個人的には思います。

まぁ先ほど昨年のキャッシュフローの章でも申し上げました通り、財務キャッシュフロー1,284億円プラスとなるくらい大幅な借り入れを行なったため、キャッシュについては丁重にマネジメントしていく方針なのでしょう。

続きまして、セグメントベースでこの大復活、増益予想決算の本業を営業利益ベースで見ていきましょう。

 

電子は、昨年の特需の反動もあり沈むことが想定されるものの、ガラスと化学品が大復活していく模様です。

その上で、営業利益1,000億円を目指していくという見通しとなっております。

そして、AGCの長期経営戦略に貢献するであろう「戦略事業」について来期分の見通しについても言及したいと思います。

2021年12月期も戦略事業は増益を遂げ、売上ベースで2,400億円を計上する見込みです。

将来的には2025年4,000億円を目指すということなので、AGCの今後を牽引する収益の柱として2021年12月期もしっかりと育成していってほしいと思います!

 

財務サマリー

ここまで、2021年12月期の見通しについて見ていきましたので、ここまでの財務サマリーを振り返っておきましょう!

AGCはD/Eレシオが0.5倍以下の安定した財政基盤をもとに、常に1,000億円以上の営業利益を上げておりましたが、2020年12月期は新型コロナウイルスの影響を受けて、減益となり、増配実績もストップとなってしまいました。

 

正直、悪い会社ではないのですが、ROEが3年前の8%台からだいぶ遠ざかっているなどもっとより良くする点がある中で、コロナの影響を受けて仕切り直しというのがAGCの実態です。

次に株主還元について見ておきましょう!

2022年3月期 株主還元

こちらはAGCの株主還元政策についてです。

来期から始まる中期経営計画において、AGCは株主還元方針の変更を発表しました。

結論、はっきりいってこれは改悪です。

現方針では、そう配当性向が50%以上としておりますが、これが、連結配当性向40%以上とするものです。

厳しいですね。

 

2019年、2020年と連結配当性向は60%、81%と大幅に上回っていたのにそれを下げるといっているのです。

来年は増益となるので、その増益後の純利益に配当性向を乗じるともっと増配が実現しても良いのですが、非常に保守的な株主還元策をAGCは打ち出したと言わざるを得ません。

2020年12月期にコロナウイルスが起きなければ、大量の借り入れを行う必要がなければ、この保守的な株主還元策は打ち出されなかったかもしれません。

コロナ恨んでも仕方ありません。会社もキャッシュを次世代事業、戦略事業に投資して将来のキャッシュフローを増大して株主に還元するのだと割り切って、今後3年間はAGCの経営を見守るしかないですね。

まとめ

本日は、BtoB企業を志望する就活生に人気なAGCについて分析し、報告させて頂きました!

2020年は惜しくも減益に沈むも、その復活の兆しはあるし、成長事業である戦略事業の育成も着々と遂げられており、来期は営業利益1,000億円を目指すAGC。

新中期経営計画で株主還元改悪は若干厳しいと思いましたが、いい会社であることには間違いありません。

投資するもよし、就活生の方は是非とも受験してみることを強くお勧めします!

それではまたお会いしましょう!

 COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

関連記事

AGC(旧旭硝子) 2021年度2Q決算を徹底解説! さとり世代の株日記 資産運用 株 投資 資産形成

AGC 2021年度2Q決算を徹底解説!

ブリヂストン 2020年12月期決算を徹底解説! さとり世代の株日記 資産運用 株 投資 資産形成

ブリヂストン 2020年12月期決算を徹底解説!

日本電気硝子 2021年12月期2Q決算を徹底解説! さとり世代の株日記 資産運用 株 投資 資産形成 株式投資

日本電気硝子 2021年12月期2Q決算を徹底解説!

AGC株式会社 株価

優良素材メーカー『AGC』の今後の株価を予想する

AGC(旧旭硝子) 2021年度1Q決算を徹底解説! さとり世代の株日記 資産運用 株 投資 資産形成

AGC(旧旭硝子) 2021年度1Q決算を徹底解説!