こんにちは!ネオコンです!
毎日、私が興味を持った企業の決算発表の解説記事をアップして皆様にご報告させていただいているのですが、そもそも私の記事の書き方が、一定の財務知識がある前提での書きっぷりとなっており配慮が足りず大変申し訳ございませんでした🙇♀️
私の決算解説記事をご覧になって頂くことで、就職活動の受験企業として検討したり、株式投資の投資対象にしたりご活用頂く際のお役に立てればと思ってこのブログを始めたのに、誰にでもわかりやすい記事を書くという前提ができていなければ伝わりませんし、この点は深く反省しております🙇♀️
そこで、今回は、決算書を読み解く上で、抑えておいてほしい財務諸表3つのうち、最も親しみのある損益計算書、(英:Plofit and loss statement)についての読み方を、ANAホールディングスの2021年3月期決算プレゼン資料を用いて解説させて頂きます!
損益計算書の読み方を知るだけであれば、ググってもらって出てくるページを見て学んでいただければ十分かと思いますが、私は実際に損益計算書の読み方を学んで、いろんな企業の決算書を読み解ける実践力を身につけて頂きたいと考えております。
ですので、今回、実際のANAホールディングスの決算プレゼン資料を用いて「損益計算書の仕組み」を理解すると同時に、実際の決算書を読み解く実践力も身につけて頂きたい、一石二鳥の形で解説させて頂きたいと思います!
なぜANAホールディングスなのか?ですが、ご存知の通りANAホールディングスは2021年3月期の業績が悪いです。
儲かっている企業よりも、業績が悪い企業の方が各利益セグメントの認識がしやすく、学びやすいのでANAにしました!
それでは実際に私と一緒に学んでいきましょう!
損益計算書の仕組み
まずはそもそも損益計算書とは何か?についてまずは軽く押さえておきましょう。
損益計算書の基礎
損益計算書
(英: income statement (US), profit and loss statement (UK)等)
財務諸表の1つである。企業のある一定期間における収益(revenue)と費用(expense)の状態を表すために、複式簿記で記録されたデータを集計することによって、貸借対照表などと同時に作成される。企業内において経営判断のための情報として用いるほか、株主や債権者などに経営成績に関する情報を提供する。『ウィキペディア(Wikipedia)』
ざっくり申し上げますと、損益計算書とは、1年間という会計期間中にどのくらい儲かったのか?ということを示す財務諸表です。
こちらが実際の損益計算書です。

損益計算書 出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
損益計算書の各ステップの利益
この損益計算書は、各ステップごとに利益が分けられており、そのそれぞれの利益を下記の通りマーキングいたしました。
一番上の売上高と、5つの各ステップごとの利益があります。

損益計算書 出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
この5つの各ステップごとの利益を軽く下記の通りご説明申し上げます。
売上総利益
売上総利益(gross margin)は、売上高から売上原価を差し引いたもの。
粗利益、荒利益とも言います。
売上総利益 = 売上高 - 売上原価
営業利益
net operating profit)は、売上総利益から販売費及び一般管理費を差し引いたものです。
(販売組織や本社運営の効率性を含めた、企業の本業での収益力を表す指標と言われます
営業利益=売上総利益 – 販売費及び一般管理費
経常利益
ordinary profit)は、営業利益に営業外収益(受取利息、受取配当金、有価証券売却益など)を加え、営業外費用(支払利息、有価証券売却損、有価証券評価損など)を差し引いたものです。
(資金調達の巧拙を含めた、企業の経常的な採算性を表す指標です。
経常利益=営業利益 + 営業外収益 – 営業外費用
税引前当期純利益
税引前当期純利益(net operating profit after tax)は、営業利益から租税を差し引いたものです。
税引前当期純利益 = 営業利益 – 租税
当期純利益
net profit)は、経常利益に特別利益を加え、それから特別損失を差し引いたものです。当期純利益、最終利益とも呼ばれる。
(純利益 = 経常利益 + 特別利益 – 特別損失
ANAの損益計算書
それでは、前章で損益計算書の基礎を押さえて頂いたところで、2021年3月期のANAホールディングスの決算発表で用いられた損益計算書のハイライト版を見てみましょう。
こちらがANAホールディングスの実際の2021年3月期決算発表での資料です。
ここでは、営業利益、経常利益、当期純利益の3つが書かれておりますね。
この3つの利益について読み解いていきましょう!
①営業利益
②経常利益
③当期純利益
①営業利益
まずは、営業利益についてです。
営業利益は、売上総利益から販売費及び一般管理費を差し引いたもので、販売組織や本社運営の効率性を含めた、企業の本業での収益力を表す指標と先ほど学びました。
営業利益=売上総利益 – 販売費及び一般管理費
ANAの決算プレゼンでは、下記の▲4,647億円の赤字のことを指します。
この▲4,647億円の赤字は、売上総利益から販売費及び一般管理費を差し引いたもので、ANAの主に航空事業をメインとした営業活動での収益力が▲4,647億円の赤字であったことを表しております。
こちらが決算短信にある営業利益の詳細なのですが、売上高から売上原価を差し引いた粗利と言われる売上総利益から販売費及び一般管理費を差し引いた営業利益は▲464,774百万円=▲4,647億円の赤字と一致するわけです。
明細を見てみると、販売手数料、広告宣伝費、従業員の給与や設備の減価償却費といった営業活動でかかる経費である販売費及び一般管理費を差し引いた後の本業の儲けである営業利益が▲4,647億円の赤字であると言えます。
②経常利益
次に、経常利益についてです。
経常利益は、営業利益に営業外収益(受取利息、受取配当金、有価証券売却益など)を加え、営業外費用(支払利息、有価証券売却損、有価証券評価損など)を差し引いたもので、資金調達の巧拙を含めた、企業の経常的な採算性を表す指標と先ほど学びました。
経常利益=営業利益 + 営業外収益 – 営業外費用
ANAの決算プレゼンでは、下記の▲4,513億円の赤字のことを指します。
この▲4,513億円の赤字は、先ほど求めた営業利益▲4,647億円の赤字から営業外収益(受取利息、受取配当金、有価証券売却益など)を加え、営業外費用(支払利息、有価証券売却損、有価証券評価損など)を差し引いたものです。
ANAの主に航空事業をメインとした営業活動での赤字▲4,647億円に、通常時で生じうる営業外の収益損失を考慮した上での利益が▲4,513億円の赤字であったことを表しております。
こちらが決算短信にある経常利益の詳細なのですが、先ほど求め営業利益の赤字▲464,774百万円から、通常時で生じうる営業外収益60,700百万円と、営業外損失▲47,281百万円を考慮すると経常利益は▲451,355百万円=▲4,513億円の赤字と一致するわけです。
明細を見てみると、受取利息、受取配当金、為替差損、支払利息、支払手数料といった通常時で生じうる営業外で発生した収益と損失を差し引いた後の通常時の儲けである経常利益が▲4,513億円の赤字であると言えます。
ここでポイントとなるのは、営業利益は▲4,647億円の赤字、一方経常利益は▲4,513億円の赤字です。
本業での赤字が、営業外で発生した収益と損失を考慮すると、赤字が薄まった、
つまり、営業外収益でプラスがあったと言えます。
よく見ると、雇用調整助成金43,470百万円とあります。
故に、本業で赤字があったが、営業外での収益である新型コロナウイルスによる国からの雇用調整助成金43,470百万円という臨時収入のおかげで経常利益が▲4,647億円から▲4,513億円へ赤字が+134億円分薄まったと言えるのです。
③当期純利益
最後に、当期純利益についてです。
当期純利益は、先ほど求めた経常利益▲4,513億円の赤字に平常時では発生し得ない特別利益もしくは特別損失を差し引いたもので、当期純利益、最終利益と先ほど学びました。
純利益 = 経常利益 + 特別利益 – 特別損失
ANAの決算プレゼンでは、下記の▲4,046億円の赤字のことを指します。
この▲4,046億円の赤字は、先ほど求めた経常利益▲4,513億円の赤字から平常時では発生し得ない特別利益もしくは特別損失を差し引いたものです。
ANAの通常時で生じうる営業外の収益損失を考慮した上での利益▲4,513億円の赤字から、通常の事業経営では起こり得ない特別な利益損失を考慮し、かつ法人税を支払った後の最終的な利益が▲4,046億円の赤字であったことを表しております。
こちらが決算短信にある当期純利益の詳細なのですが、先ほど求めた経常利益の赤字▲451,355百万円から、通常の事業経営では起こり得ない特別な利益+5,220百万円と、特別な損失▲99,237百万円を考慮して法人税を差し引くと、最終的な利益である当期純利益は▲404,624百万円=▲4,046億円の赤字と一致するわけです。
明細を見てみると、特別利益と特別損失でそれぞれ下記のようなトピックスがあります。
特別利益では、
固定資産売却益+2,834百万円・・・航空機の売却益でしょう
特別損失では、
事業構造改革費用▲86,350百万円・・・大型機を中心とした早期退役(28機)を含む航空機の大量退役を実施し、減損損失等を計上した
以上より、通常の事業経営では起こり得ない特別な利益と損失を考慮すると、税引前当期純利益は▲545,372百万とさらに赤字が拡大したと言えます。
なぜここで税引前利益を使うのかと言いますと、今期、税前利益時点で赤字を計上しているANAは税金を控除してもらえて、最終的な当期純利益が税前利益からさらに下ると薄まるようになります。
これでは、先ほど申し上げました特別損失を響かせた形にならないので、これ以降は税前利益で議論させていただきます。
ここでポイントとなるのは、経常利益は▲4,513億円の赤字、一方税前当期純利益は▲5,453億円の赤字であり、
通常の事業経営での赤字が、通常起こり得ない特別な事象で発生した収益と損失を考慮すると、赤字が拡大した
つまり、特別損失が大きくてさらに赤字を広げてしまったと言えます。
よく見ると、事業構造改革費用▲86,350百万円とあります。
故に、通常の事業経営でも赤字があったが、大型機を中心とした早期退役(28機)を含む航空機の大量退役を実施するなどの事業構造改革費用を特別損失として計上することでで税前当期純利益が経常利益の▲4,513億円から▲5,453億円へ赤字が▲940億円分拡大したと言えるのです。
利益構造分析を通じて
以上より、①営業利益、②経常利益、③当期純利益の分析を通じて、わかったことをまとめます。
①営業利益
航空事業を中心とした本業の儲けである営業利益が▲4,647億円の赤字
②経常利益
本業で▲4,647億円の赤字であったが、営業外での収益である新型コロナウイルスによる国からの雇用調整助成金43,470百万円という臨時収入のおかげで経常利益が▲4,647億円から▲4,513億円へ赤字が+134億円分薄まった。
③当期純利益
通常の事業経営でも赤字があったが、大型機を中心とした早期退役(28機)を含む航空機の大量退役を実施するなどの事業構造改革費用を特別損失として計上することで税前当期純利益の赤字がさらに拡大した。
(その後、赤字なので税金調整で、当期純利益の赤字は薄まる形となる)
以上のことから、利益といってもどのセグメントでの利益のことなのか?という点がわからないと企業の知りたい収益性を把握することができないのです。
✔︎本業での収益力を知りたければ、営業利益を見る。
✔︎営業外だが、通常の事業活動で発生しうる収益利益を考慮した上での利益を見たければ、経常利益を見る。
✔︎最終的な利益を見たければ、当期純利益を見る。
といった感じです!
これでニュースでよく使われる言葉である「営業利益」、「経常利益」、「純利益」の違い分かりましたね!
これが決算書を読み解く上ので基本中の基本です!
次回は貸借対照表について見ていきたいと思います!
どうもご覧下さりありがとうございました🙇♀️
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